6月2日、アマゾンジャパンは説明会を開催。同社の古屋美佐子氏がアプリについて解説した

既報の通り、アマゾンジャパンはiPhone/iPod touch用アプリ「AmazonモバイルiPhoneアプリ」を3日から、アップルのApp Storeで配信する。フォト検索やコンビニ検索など、独特の機能が用意されているのが特徴だ。利用は無料。

Amazon.comは、世界最大級のECサイトを運営しており、今年第1四半期には、過去1年に買い物をしたユーザーが1億500万を突破。昨年度の売り上げも245億を超えて成長を続けている。今年で10周年を迎える日本法人も、すでに21の商品カテゴリに、2,000万点を超える商品が購入できるようになっている。

同社はユビキタス化戦略を1つの柱とし、2001年に携帯電話3キャリアをサポートし、04年にはAmazonモバイルをスタート。09年にはiPhone向けサイトを開設しており、いつでもどこでも買い物ができる環境を構築してきた。

今回のiPhoneアプリの配信はその一環で、すでに08年12月に米国でリリースされたアプリの日本語版だが、日本独自の機能も盛り込み、特に外出先で素早く買い物ができることに注力した作りになっている。

AmazonモバイルiPhoneアプリの画面

通常のテキスト検索も可能

検索結果の画面

カテゴリによる絞り込みも可能

スタート画面は、iPhone向けサイトに似たUIになっており、商品名などから検索して目当ての商品を探すことができる。さらに独特の機能として、iPhoneのカメラを使った「フォト検索」機能を装備。これは、カメラで撮影した品物を商品データベースから探し出し、それを検索結果として表示する機能だ。

特に書籍や音楽CD、DVDなど、文字で商品名が分かるものに強く、文字の部分だけをアップにして撮影しても、通信時間を除けばほぼ瞬時に検索結果が帰ってくる。これは、Amazonの子会社A9.comが09年に買収した画像認識のSnapTellの技術を使っており、日本語の書名なども問題なく検索される。バーコードの読み取り機能はないが、バーコードのない商品でも読み取れるのが強みだ。

フォト検索では、撮影して数秒で検索結果が帰ってくる。書名の部分だけを拡大して撮影しても、正しい商品を表示してくれる

機械的に処理できない画像が送られてきて、検索結果が出ない場合は、人の手で同じまたは似たような商品を検索する。これは一般から募集した人に作業を行ってもらい、報酬を支払うAmazon Mechanical Turkの仕組みを利用しており、人の目で画像を見て、それと近い商品を検索結果として返す。検索は「10~20分、長くても1時間はかからない」(モバイル・プラットフォーム部門シニア・プロダクト・マネージャー 古屋美佐子氏)という。人手は使うが、検索は24時間対応しているそうだ。また、アマゾン側が報酬を支払うため、検索した人には請求されない。

タンバリン単体を検索した場合

検索結果には、「同様の商品を検索していて、見つかったら通知する」とのメッセージ

同じ種類ではないが、似たようなタンバリンが検索結果として帰ってきた

「コンビニ検索」という日本独自の機能も搭載する。これは、商品受け取り先を指定する際に、iPhoneのGPS機能を使って現在地を特定し、その周辺のコンビニを地図上で表示してくれる機能だ。表示された中から受け取りたいコンビニ(ローソンのみ)の店舗を選べば、その住所を購入商品の送り先に1タッチで設定できる。外出先での受け取り場所を指定したい場合などに便利な機能だ。

近所のコンビニを検索し、そこから住所を1タッチで送り先に取り込める

同様に、iPhoneの連絡先に登録してある住所を、1タッチで送り先に設定してプレゼントを贈る、といった作業もできる。マルチタスクができないiPhone上でも、うまく連携させ、便利に使えるように配慮されている。

アプリの利用時には、すでに登録してあるアマゾンのアカウントでログインすることができ、送り先や1Clickの設定、パーソナライゼーションによるおすすめ、カートの中身などを同期して使うことができる。アカウント設定など、PCサイトにはある一部の機能は用意されていないが、買い物をする点に関しては全機能を備えているという。決済手段も、PCで利用できるものはすべてカバーする。

その他の機能

ちなみに、Amazon.co.jpのユーザーでは、従来の携帯サイトを使うユーザーの多くは若く、10~20代が6割を占めているそうだ。それに対して、iPhone向けサイトの利用者は、ITリテラシーの高いビジネスパーソンが多いという。アプリの配布で、さらなるユーザーの拡大を図りたい考えだ。

なお、iPadに関しては、iPhoneサイズで表示されるものの、利用は可能。AndroidやWindows Mobileなど、ほかのスマートフォンへの対応については、ユーザーからの要望が高ければ検討したいという考えを示している。