車にナビ、徒歩でも携帯電話でナビが使える世の中だが、ナビが使いにくいのが自転車だ。自転車は設置するスペースも難しいし、電源の問題もあるし、自転車を運転しながらナビを確認するのも難しい。でも、見知らぬ土地で自転車にナビが欲しいというシーンもある。そんな時に便利なナビが、ソニーから登場した「nav-u NV-U35」だ。

ポータブルナビ「nav-u NV-U35」

安心して自転車でナビ

エコや健康のために自転車を使う人も増えているが、自転車対応ナビというのはそれほど多いわけではない。そこにソニーが投入したのが、「自転車対応」をうたうポータブルナビNV-U35だ。自転車ユーザーに便利な機能が満載だ。

自転車は、車のようにナビの設置場所に恵まれているわけでも、屋根に守られているわけでもない。携帯のようにすぐにナビを取り出してすぐにしまうということもできない。

NV-U35では、別売の自転車クレードルをハンドルに設置して、本体をはめ込むだけで、簡単に自転車に取り付けられるポータブルナビだ。アームの取り付けこそ付属の六角レンチを使って作業が必要だが、ハンドルを挟んでボルトで留めるだけなので、作業自体は5分もかからない。22~33mmのハンドル径に対応するようだ。

実際に自転車に取り付けたところ。アームの角度を変えて見やすい位置に設定できる

ハンドルに取り付けたら、あとはクレードルと本体を設置するだけ。こちらは簡単にはめ込みが可能で、取り外しも、背面のボタンを押せばクレードルごとはずれるので、自転車を降りたあともすぐに取り外せる。チェーンキーを付ける方が時間がかかるぐらいだ。

背面。丸いボタンを押し込むと、クレードルが外れる。そのまま持ち歩くことができる

実際に取り付けて走ってみると、路面の振動にアームが震えて少し心配になるが、歩道へ乗り上げたり、多少の段差を越えたりしてもビクともしないので、しばらく乗ってみるとすぐに慣れて、安心して利用できた。

自転車への取り付けで大きなポイントが、突然の雨にも耐えられる防滴性能だ。画面をのぞいて全体的にゴムに覆われたようなボディで、水が入り込まないような設計になっており、IPX5相当の防滴構造を備えている。

本体前面。現在地ボタンを押せば、すぐに現在の場所を表示してくれる。ボタンはゴムカバーに覆われているが、グローブを付けていても押しやすい

本体背面。スピーカーはこの位置にある

本体側面。防滴性能を確保するため、カバーはきちんと閉めておく必要がある

本体上部。電源ボタンが配置されている

便利に自転車でナビ

自転車でルート検索すると、車が入れないような細い道もルートとして検索してくれる

NV-U35は、自転車に取り付けられて、雨にも強いというだけではない。自転車に特化した機能も備えているのが特徴だ。

「ナビモード」では自動車と徒歩に加え、自転車モードも搭載。このモードにすると、ルート検索時に車が使えないような細い道も探索し、車とは異なる最短ルートを検索してくれる。画面のアイコンは自転車になって、さらに曲がり角に来たときはきちんと音声で案内してくれる。自転車を走らせながら画面を見るのは、車の運転と同様、危険が伴うので、音声でのルート案内は重要だ。

ナビモードであらかじめ自転車に変えておく。自転車での案内中のアイコンが自転車に変わる

スピーカーは本体背面にあるので、町の騒音の中ではかき消えがちだが、音声案内が始まったことは分かるので、そこで注意を向ければ、「この先を右に曲がる」といったことは理解できそうだ。

検索に使える「ガイドブック情報」では、自転車用の「サイクリングターミナル」が30件用意されており、自転車で行く場所の参考として利用できる。

周辺検索では、自転車用のカテゴリも用意されている

ガイドブック情報のサイクリングターミナル

ちょっと面白いのが「サイクルコンピューター」機能で、自分の体重を設定しておくと、目的地までの距離や時間、速度や消費カロリーといった情報を表示してくれる。地図を見ながらの2画面表示も可能で、走行しながら、どれくらいのカロリーを消化したか、といったことが分かるわけだ。

体重の入力画面と、2画面での表示。これは車の速度が出るような形だが、自転車モードでは自転車に変わる

電子コンパスを内蔵し、コンパス画面を表示することもできる。目的地の方角も示してくれ、だいたいの方角を見て走行するといったことも可能。なお、これらの機能は徒歩や自動車モードの時も利用できるので、自転車だけの機能ではないが、役に立つ機能だ。

電子コンパス

走行したGPSログをメモリースティックデュオに保存して、同社の地図サービス「PetaMap」にアップロードする機能も便利だ。アップロードしたログをKMLフォーマットで書き出せるので、Google EarthやGoogleマップを使って、自分の走行データをあとから確認できるのも楽しい機能だ。

自転車で使う場合、問題となるのはバッテリーだ。車での利用とは異なり、電源が取れないため、内蔵バッテリーでの駆動になり、バッテリーが切れると使えなくなってしまうからだ。

NV-U35では、バッテリー持続時間は通常モードで約4時間。近場の移動であれば十分な持続時間だが、さらに長時間駆動が必要な場合は、スタミナモード、スーパースタミナモードが用意されている。それぞれ約6時間、約11時間という長時間駆動が可能だ。

スタミナモードの選択画面。車、自転車、徒歩でそれぞれスタミナモードを変更できる

どちらのモードでも、通常のナビの時は画面が消え、音声案内のみになる。スタミナモードは音声案内時にも画面が表示されるので、交差点の地図を見ることができる。スーパースタミナモードでは、音声案内時にも画面が表示されない。

どのモードを使うかは、利用状況に応じると良さそう。まったく知らない、しかも複雑な道を走る場合は通常かスタミナモードで。幹線沿いを長時間走るような場合はスーパースタミナモードで。途中で切り替えるなどすればいいだろう。

必要十分なナビ機能

本体は、約112(W)×79(H)×17.8(D)mm、約176gで、画面は3.5型QVGA(320×240ドット)のTFT液晶を採用。タッチパネル操作をサポートし、大きめのアイコンが表示され、軽くタッチするだけで操作できる。

「ジェスチャーコマンド」は、画面に触れて指を指定の方向に動かすと機能が実行されるというもので、右または左に回すと、あらかじめ設定した縮尺に変更したり、「へ」に近いジェスチャーだと「現在地から自宅まで」のルート検索をしたり、といった操作が行える。ちょっとした信号待ちの時にサッと使えて便利な機能だ。

肝心のナビ機能では、地図が全国1,335エリアの「市街詳細地図」を含む25m~800kmまでの全国地図を内蔵メモリに搭載。指で動かして操作できる地図は、スクロールも速く、ストレスなく動く。

地図表示では2D、3Dの切り替えも可能

車でのナビに便利な高速道路のガイド

ルート探索では経由地を指定したり、6種類の探索条件で検索できたりと、基本的な部分は押さえている。電話番号、住所、名称、現在地の最寄りスポット、グルメや温泉などのガイドブックといった情報での検索も可能。

全国主要道路に関しては、過去の渋滞統計情報から渋滞を予測してルート検索してくれる。時間帯やシーズンの渋滞も考慮してくれる。VICSなどの情報を使うには、別売のユニットが必要だ。トンネル内など、一時的にGPS電波が受信できない場合に、自車位置を推測する「POSITIONアシスト」機能も備えている。

案内時は、首都高速などの都市高速の入り口ガイドや有料道路の料金案内、市街詳細地図での交差点拡大表示、方面看板、3Dリアル交差点ガイドといった案内表示に対応。自動車でも使いやすいが、自転車でも拡大表示などは分かりやすくて見やすい。

知っている道も知らない道もナビ

NV-U35は、車、自転車、徒歩の3種類のナビが可能で、車でナビをしながら移動して、折りたたみ自転車に乗せ替えて観光して、さらに徒歩でも移動する、そんな旅行でもすべて1台できるという優れものだ。

旅行先に持って行った場合でも、ナビのあとはホテルで充電しながら、カメラで撮影した画像をメモリースティックデュオ経由で取り込んで写真を見たり、動画を再生したり、自宅のソニー製Blu-ray Diskレコーダーで録画した番組をおでかけ転送して視聴したりといったことも可能。

豊富なガイドブックも、既存のものだけでなくPetaMap経由でスポット情報をダウンロードでき、PC上で計画したスポットのデータを取り込めば、それを目的地として設定して検索することもできる。

自転車は気軽にいろいろなルートを走れるので、身近な道路でも意外な裏道に意外な発見もあるもので、単純にナビするだけでなく、GPSログも保存してくれ、あとからそのデータを見返すこともできるのもうれしいポイントだ。