アイ・オー・データ機器、デジオン、メルコホールディングスの3社は1日、一般社団法人「デジタルライフ協議会」を設立し、同日、会見を行った。同協会の理事には、それぞれ3社の代表取締役が就任、代表理事には、メルコホールディングスの牧誠代表取締役が就任した。ご存じのように、アイ・オー・データ機器、メルコホールディングスは、デジタルチューナーや、デジタル放送に対応したプレーヤーなども発売するメーカー。デジオンは、デジタルコンテンツに対応したサーバーソフトやプレーヤーソフトなどを開発するソフトウェアメーカー。

3ショット。アイ・オー・データ機器代表取締役細野氏によると、「永遠のライバル、メルコの方と、このように席を並べるのは、25年間で初めて」とのことだ

同協議会の主な事業内容は、以下のようなもの。

  1. デジタルライフの普及促進に関する啓発活動
  2. デジタルライフの実現に付随する基準、規格、ガイドラインの提案
  3. デジタルライフの普及に関連する提案、および意見表明
  4. デジタルライフと関連の深い、放送、通信、電子機器、家電製品、家電販売などの諸業界団体との連携
  5. 前各号に掲げる事業に付帯関連する一切の業務

現時点で、同協会でいうデジタルライフとは、デジタルコンテンツを、ネットワーク経由で、家庭内のどこでも、あるいは携帯機器で使えるようにする環境ということのようだ。これらに関するガイドラインを提案したり、意見の表明、関係団体との連携を行うための団体というのが、同協会の趣旨ということになるだろう。

では、どのような提案を行っていくのだろうか。牧代表理事は、会見の冒頭で「デジタル放送と通信の垣根を越えた新しいカテゴリーのデジタル機器が、登場してきている。海外では、多チャンネル化の関係で、高解像度のコンテンツは少ない。それに対して、国内ではハイビジョンコンテンツの比率が高く、そのクォリティも高い。しかし、ユーザーの視点から見ると、そのクォリティの高いコンテンツは、著作権保護の関係で使い勝手が悪く、利用に関しては、アナログ時代に比べて大きく制限されている。もちろん、著作権保護は考慮する必要があるが、それに加えて、ユーザーのメリットにもなるような形の要望を出していきたいと考えている」と述べている。また、同協会の事務局を勤めるメルコホールディングスの松尾取締役は、同協会の活動内容の中で、「デジタルライフの環境整備には、一定の基準が必要です。基準が曖昧だったり、そもそも存在しなかったりすると、製品を作る側も使う側も、大きな混乱となります。技術の進歩とユーザーの利便性に合わせた基準の提案を行っていきます。さらに、複数の企業の製品を利用する場合に、初心者でも簡単に使えるように手順を統一していきます」と述べている。デジタル放送のコンテンツのネットワークでの利用に関して、より利便性の高い規格の提案を行っていくということになるのだろう。我々一般ユーザーにとっては期待したいところだ。

また、理事に就任したアイ・オー・データ機器の細野昭雄代表取締役は、「我々3社は、デジタル家電の中では新参者という扱いをされています。1社では、なかなか、既存の団体には相手にされにくいという現状があります。そこで、この協会を設立したわけですが、この協会は、既存の各協会や団体と対抗するというものではありません。メーカー、著作検者、ユーザーのバランスを取って行ける団体にしたいと考えています。さらに、我々以外、新規にデジタル家電に参入される方にとっても、こういう団体は必要ではないかと考えています」と述べており、3社以外にも広く門戸を開いていくとしてる。

なお、同じく理事に就任した、デジオン代表取締役の田浦寿敏氏は、「デジタル時代には、ソフトウェアが機能を作ることになります。今までは、規格が先にあって、それに合わせてソフトウェアを作るという形になっていました。それが、規格を作る段階で、ソフトウェア開発するメーカーが参加するということになれば、ソフトウェアとしての機能性や、ユーザーにとっての利便性を高めることが可能になるでしょう」と述べた。

その後の質疑応答で、牧代表理事は、「著作権保護は尊重するが、アナログ時代にできたことは、デジタルでもできてほしい。海外では、著作権保護はかかっていない。せっかくよいコンテンツがあるのに、このままでは、ガラパゴス化してしまうのではという不安がある」と語っている。また、細野理事は、「デジタルテレビは売れているが、ほとんど、ネットワークに繋がっていない。ホームネットワークが広がらない理由は、どこのテレビとレコーダーをつなぐとどうなるのかといった、ユーザーからみての情報がおろそかにされているから。国内のルールに従ってやらなければならないが、決まってないこと、ユーザーからみておかしいことが放置状態になっているのは問題」と述べるなど、所々に、既存団体との、主張の違いをにじませていたが、会見中、既存の団体とは、対抗するものではない。著作検者の権利を尊重する、しかし、ユーザー側の利便性も守りたいという表現が多く使われており、各方面に対する強い気の使いようが感じられた。

協会の理事長に就任した、メルコホールディングス代表取締役牧誠氏

理事に就任した、アイ・オー・データ機器代表取締役細野昭雄氏

同じく理事に就任したデジオン代表取締役田浦寿敏氏