街頭の情報端末にもCore i7が使われる時代を期待するIntel
最後に触れられたのが組み込み分野だ。Otellini氏は「昨年、あらゆるデバイスに向けて100億個のプロセッサが出荷されたが、そのうち半数は8ビットや16ビットのマイクロコントローラーで非常に古いアーキテクチャのものだ。しかし将来、これらすべての組み込み機器がさならるパフォーマンスやよりよいインタフェースを必要とし、インターネットにつながるようになる」と話し、その一例として、見る人に応じて表示内容を変える広告板をデモンストレーションした。
登場したのはアパレル販売店内に設置することを想定した半透明の大型ディスプレイで、画面に近づくとユーザーの背丈や性別を自動判別し、画面の向こう側に透けて見える店内の商品の中からユーザーに合う物を絞り込み、商品の実物を指し示すタグを画面上に表示する。別のフロアにある商品を示すときは、商品のありかを示す情報をユーザーの携帯電話にBluetooth経由で転送し、加えて電子クーポンなどを配布することもできる。
この広告板にはCore i7が搭載されており、カメラで撮影した動画からのユーザー認識や、3D UIの描画などにそのパワーが使われているという。このように、これまでスタンドアローンで決まった仕事をしていたデバイスがネットワークに接続され、ユーザー別にパーソナライズドされた情報を取り扱うようになることで、高い処理能力やリッチなUIが必要となり、それは従来の組み込み用チップでは実現できないため、Intelアーキテクチャが求められるというのが同社の主張である。
講演のエンディングで流されたビデオでは、同社の研究所で開発が進められているワイヤレス給電技術や、ユーザーの気分を読み取るウェアラブルセンサーといった先進デバイスが紹介された。それらは現在のIntelのビジネスに直接関係するものではないが、あらゆるデバイスがネットワーク化されパーソナライズドされるという、同社が夢見る未来の情報環境を支える技術になり得る。今回のIntelの基調講演は、PCの先にあるコンピューティング需要というビジョンを示す格好のものとなった。