日本の会計基準と異なる「国際会計基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)」は、その導入に伴い、日本企業に会計やIT関連のプロセスなどのさまざまな変更を強いると言われている。実際、すでにIFRSの強制適用が始まっているEUの上場企業は、IFRSの導入に際して苦労したようだ。

しかし、IFRS導入において後発となる日本はそうしたEUの上場企業のノウハウを活用することができるというわけだ。EUの上場企業のサポートにおけるノウハウをもとに、国内でもさまざまなベンダーやコンサルティングがIFRS関連のサービスを提供している。

専門知識が問われるIFRSへの移行を企業だけで成し遂げるのは簡単ではないだろう。そこで本企画では、企業の皆さんがIFRS移行をスムーズに行うのをサポートすべく、2009年に提供が開始されたIFRS関連のサービスを時系列で紹介しよう。

初期評価から実行まで包括的に支援 - 日本IBM・IBCS

日本アイ・ビー・エムとアイ・ビー・エムビジネスコンサルティング サービスは11月26日、国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards、以下IFRS)の対応に向けて企業が直面している業務・システム面における課題・影響範囲の見極めなどの初期評価から実行までを包括的に支援するサービスを発表した。

IBMでは、同社がIFRSの導入を支援した欧州企業での経験を踏まえ、IFRS適用に求められる検討領域を次の6つに分類している。

外部対応

  • ビジネス/顧客:M&A、知的財産、税務戦略・対応の見直し
  • 製品/サービス:顧客・仕入れ先などの取引先との取引内容の見直し

内部対応

  • 組織/人材/教育:シェアード・サービス・センター、アウトソース、オフショアなどの共有化や外部活用のあり方
  • ルール/基準:グループ会計処理基準・勘定科目の統合・業務/プロセス:業績管理・管理会計の見直し、内部統制の見直し、新プロセス導入
  • IT/インフラ:グループ共通会計システム・新基準対応システムの導入

これらの領域を基に、「初期評価・基本構想サービス」と「クイック初期評価サービス」が提供される。

資産除去債務報告を支援 - オラクル・ユニシス・みずほ情報総研

日本オラクル、日本ユニシス、みずほ情報総研は11月26日、企業の資産除去債務報告を支援するソリューション提供について協業し、提供を開始したと発表した。

企業による資産除去債務報告は、会計基準を日本基準から国際基準へコンバージェンス(収れん)対応させる取り組みの一環において、上場企業すべてが対象になり、2010年度の財務報告書から資産除去債務の報告が義務付けられる。

オラクルとみずほ情報総研は今年5月より、資産除去債務報告を支援するソリューションの提案を行ってきた。みずほ情報総研は、自社開発した資産除去債務計上支援ツール「eARO」を活用した「資産除去債務コンサルティング」を提供する。

一方、ユニシスはオラクルのERP製品「Oracle E-Business Suite」を活用した固定資産管理ソリューションとして「FaSet FA」を提供している。今回、日本企業の国際会計基準対応に向けた資産除去債務報告を支援するため、資産除去債務における財務と税務の取得価額の相違に対応した資産管理、資産除去債務に関する利息情報の管理機能を追加開発した。

3社による協業を開始したことで、資産除去債務報告に必要となる業務コンサルティング、IT システムの効果的な活用方法と導入を統合して提供していく。

資産除去債務報告支援ソリューションにおける3社の役割

SQL Server/.NETで開発されたソリューション - マイクロソフト

マイクロソフトは、国際財務報告基準(IFRS)に対応したソリューションを日本で提供するため、ベルギーのファイナンシャルアーキテクツと協力し、「Financial Studio」の提供を11月16日より開始すると発表した。

「Financial Studio」は、ファイナンシャルアーキテクツが開発したWindows Serverベースの国際会計基準対応の財務リソースプランニング(Financial Resource Planning-FRP)ソリューションで、SQL Serverおよび.NETテクノロジーで開発されている。

「Financial Studio」では、取引イベントの発生を元にした、仕訳から報告の一連のライフサイクルを国際会計基準に準拠して管理を行い、報告データから原始証憑まで遡ることができるとともに、計上基準・仕訳詳細を容易に参照することが可能だという。

「Financial Studio」では、取引イベントの発生を元にした、仕訳から報告の一連のライフサイクルを国際会計基準に準拠して管理を行い、報告データから原始証憑まで遡ることができるとともに、計上基準・仕訳詳細を容易に参照することが可能だという。

マイクロソフトは、Financial Studioの企業導入にあたって、マイクロソフトコンサルティングサービスおよびマイクロソフトプレミアサービスを提供し、円滑なシステム設計・構築・運用に向けて、日本での協業パートナー各社とのパートナリングを行うとともに、共同で販売支援およびマーケティング活動を行う。