シャープは17日、報道関係者向けに2009年冬~2010年春商戦向け携帯電話の説明会を開催した。説明会には、同社執行役員 通信システム本部長の大畠昌巳氏が出席。2009年冬春の新製品の説明や今後の取り組みについて解説し、その中でAndroid OSを搭載した端末を開発中であることを明らかにした。
Android OSを採用した端末の提供は、同社が今後の取り組みのひとつとして挙げた「オープンOSを搭載した新しい商品の創出」の解説の中で明らかになった。大畠氏は、このオープンOS端末について、「Android OSを採用し、さらに独自のカスタマイズを加え、国内市場によりフィットした商品に仕上げて提供する」とコメント。オープンOSの中でAndroidを選択した理由については、「Androidのここがいいという理由があるわけではなく、通信キャリアとの連携の中でAndroidを選択した」と説明している。独自のカスタマイズについては、国内市場でのニーズを考え、FeliCaや携帯キャリア独自のサービスなどへの対応を挙げている。提供キャリアや搭載機能などは明らかにされなかったが、「来年前半にはお届けできる予定」(大畠氏)だという。
Android端末の提供以外では、今後も「携帯電話の高機能化」に積極的に取り組んでいくとしている。ただし、すべての機能を高機能化するのではなく、「ニーズに裏打ちされた必要とされている機能」を開発する方針だという。加えて、2007年では実売の50%を占めていたハイエンドモデルが、2008年では35%、2009年上期では30%に減少し、変わりにミッドレンジモデルが成長してきていることから、「魅力あるミッドレンジ向け端末の開発」にも注力する。ハイエンドモデルで培った技術を「ワンポイントフィーチャー」というかたちでミッドレンジモデルに搭載していく考えだ。
シャープの考える携帯電話の市場動向
説明会では、携帯電話の市場動向についても語られた。大畠氏は国内の需要動向について、経済不況と販売方式の変更などにより需要が激減しているが、「2009年度を境に2010年度以降は緩やかに回復する」と予測。スマートフォン市場の拡大の可能性もあるとの見解も示した。「iPhoneの登場により、ユーザーの裾野が一気に拡大した。スマートフォンのイメージがより身近なものに変わってきた」(大畠氏)。
また、端末に求められる機能について、「カメラ機能に対するニーズが根強くある」とコメント。ハイエンドモデルでは1200万画素クラスとなったモバイルカメラや、「ProPix」など高画質技術、シーン別撮影や笑顔検出などの機能の進化を例に出し、今後は「ケータイカメラを使いこなす」ためのユーザーインタフェースの強化や関連アプリケーションの提供がポイントになると指摘した。
また、各キャリアが導入を進めているLTEサービスにより、携帯電話サービスのクラウド化が進み、「入力・出力装置としての携帯電話」の重要性が高まるとの見解も示した。
2009年冬春の新製品
このほか、2009年冬~2010年春モデルの説明・展示も行われた。同社は今回の新モデルとして、14機種、58カラーバリエーションの商品を用意。これら新機種の注力ポイントとして、カメラ機能の強化など「機能面の強化」と「デザイン面の強化」を挙げている。
機能面の強化では、Wi-Fi機能やブルーレイディスクレコーダとの連携機能、1200万画素クラスのCCDセンサを採用したカメラ機能などを、デザイン面の強化では、イルミネーションを用いた筐体デザインや、コラボレーション端末をアピールした。