デザインに焦点を当てた新しいものやシーンを提案するDESIGN TIDE TOKYO 2009。今年は10月30日から11月3日にかけて開催され、東京ミッドタウンのメイン会場を中心に都内各所でさまざまなエキシビションが行われた。ここで出会った美しき"iPhoneカバー"を紹介しよう。

丸若屋、DESIGN TIDE TOKYOに出陣

DESIGN TIDE TOKYOのエントランス

『丸若屋』が面白いiPhoneカバーをリリースしたらしい――そんな情報を教えてくれたのは、チームラボの猪子社長であった。「丸若屋」とは、1979年東京生まれの丸若裕俊が店主をつとめるよろずや集団。日本各地の職人や企業と共に物づくりを行っており、そのコラボレーションの妙は近年じわり注目を集めている。

そんな彼らが提案する噂のiPhoneカバーが、今年のDESIGN TIDE TOKYOにてお披露目されたという。斬新な発想で世間を魅了する猪子社長お墨付きのiPhoneアクセサリとは、いったいどんな代物なのか……期待を胸にメイン会場へと潜入した。

会場内『TIDE Market』は、実際のプロダクトを手で触れたり一部購入したりすることができるほか、デザイナー本人とコミュニケーションを交わすことができる出会いの場ともなっている。いざ、足を踏み入れると……軒を連ねる各ブースには、近未来的デザインのプロダクトがずらり展示されていた。その中でひときわ異彩を放つのが『丸若屋』のブース。そこでついに、求めていたiPhoneに対面することができた。

会場の様子

丸若屋ブース。ブース内にはちょうちんが

iPhone×伝統工芸の共演

出展されたiPhoneケース&カバー3点は、丸若屋トータルプロデュースのプロダクトブランド、「otsuriki」が提案する第一段のプロダクトである(otsurikiという言葉には"通"とか"粋"などという意味合いの江戸言葉が込められているそう)。そして注目すべきは、これらはすべて日本古来の伝統工芸とのコラボレーション作品であるということ。

今回は、秋田県は大館で知られる曲げわっぱ、新潟県の燕に伝わるチタニウム、そして東京浅草の前川皮革工芸による印傳が丸若屋とタックを組んだ。伝統技術を駆使したそれぞれのiPhoneケース&カバーの質感、艶感、存在感は、「otsuriki」の名に込められた"粋"な感性が反映され、iPhoneの付属品という概念を覆す芸術品として完成されていた。

曲げわっぱのiPhoneカバー

チタニウムのiPhoneカバー

TEAM★LABが手掛けた夢の映像作品とは

丸若屋のブースでひときわ目を惹いたのが、中央に並ぶ「印傳iPhone cover」である。そして、漆のツヤ、なめした鹿革の風合い……といった印傳の魅力を巧妙にひき出しているのが、画面に流れる幻想的な映像。リリースされた4パターンのカバー絵柄に倣った背景の中、将軍や貴族や商人が優美な踊りを見せている。不可思議な世界だ。

印傳iPhone cover

チームラボが作成した映像作品

実はこの画像、チームラボがこの展示に合わせて手掛けたという映像作品だ。日本のものづくりを進めるよろずや集団『丸若屋』とウルトラテクノロジスト集団『チームラボ』――伝統とテクノロジーが相反することなく絶妙な形で共演し、時代やジャンルを超越した世界観を提案していた。