10月5日(太平洋夏時間)より3日間、カリフォルニア州ロサンゼルスにおいてAdobe Systems主催によるユーザカンファレンス「Adobe MAX 2009」が開催されている。2日目となる6日のゼネラルセッションでは、Flash技術のさまざまな現場での活用事例が紹介された。

やはりiPhone対応への期待は大きい!?

Adobe Systems Director of Platform EvangelismのBen Forta氏

まず壇上にはAdobeのDirector of Platform Evangelismを務めるBen Forta氏が上がり、Adobeにとってユーザコミュニティが非常に大切な存在であることを語った上で、各種ツールユーザへの感謝の言葉を述べた。Flash、Flex、LiveCycle、ColdFusion、Photoshopなど主要な製品を挙げて呼びかけていったが、最後に会場から「iPhoneは?」の言葉が。

Adobeユーザの中にもiPhoneユーザは多く、会場でも多数の参加者が手にiPhoneを持っていたが、知っての通りAppleはiPhoneでFlashをサポートしていない。それに対するAdobeの答えが、前日に発表されたFlashアプリからiPhoneアプリへの変換するコンバータの提供である。このForta氏への呼びかけは、FlashおよびiPhoneユーザからのAdobeに対する期待の大きさを伺うことができる出来事であった。

Flashビデオにおけるイノベーション

次にForta氏はFlash技術が世界中で使われていることを指摘。セッションは、その活躍する現場としてさまざまな事例がゲストによるデモとともに紹介される形で進行した。

最初に紹介されたのはMLB.comによるメジャーリーグの試合映像の配信サービス。MLB.comではサイト上でメジャーリーグの試合映像をストリーミング配信しているが、そこにFlash技術が活用されている。

MLB.comのアーキテクチャ。紹介するのはSenior Vice PresidentのDavid Yu氏(右)、左はAdobeのJennfer Taylor氏

MLB.comでFlashビデオが活用されていることに関連して、AdobeでIntaractive MediaのDirector of Product Managementを務めるJennfer Taylor氏は、今もなおFlashビデオにおけるイノベーションが続いていることを強調し、最新のFlash Player 10.1で実現する新機能を紹介した。そのひとつがHTTPストリーミング配信のサポートである。これによってFlashビデオのストリーミング配信の利用範囲は大きく広がることになるだろう。またDRMのサポートによるコンテンツ保護の強化も商用メディアとして利用したい顧客には見逃せない機能である。

そのほかにAdobeでは「Open Source Media Framework(OSMF)」としてメディアプレーヤー開発のためのオープンソースのフレームワークを提供しており、この点もビデオコンテンツを扱うサービスを構築する上で重要な意味を持ってくるだろう。