IPAは、毎月発表するコンピュータウィルスや不正プログラムの状況分析から、「今月の呼びかけ」を発表している。
最近になり、オンラインゲームを利用していて不正アクセスの被害に遭ったという相談や届出が、IPAに急増している。具体的な被害内容としては、一般にアカウントハッキングと呼ばれる「オンラインゲームを利用する際に必要なユーザーIDとパスワードを第三者に悪用され、ゲーム内のキャラクターが所持するアイテム(ゲーム内のキャラクターが使用する武器などの持ち物やゲーム内の通貨など)を盗まれてしまう」というものだ。ある日突然、ログインしたらアイテムが空っぽになっていて、その被害に気が付くということが一般的である。
このような被害の背景として、IPAでは、ゲーム内のアイテムが、現実世界の通貨で売買取引(RMT:Real Money Trading)されている点を指摘する。また、アイテムによっては、相当な高価な価値が付くものもあり、金銭目的の犯罪者にとっても魅力的となっている。
キャラクターのアイテムが盗まれる被害
まず、事例として多いのが、キャラクターのアイテムが盗まれるものである。ゲーム内で知り合った利用者とチャット中に、「ゲームをするには便利なツールだから」としつこく勧誘され、しかたなくダウンロードしてインストールをしてしまった。しかし、インストールしたツールは、ゲームのユーザーIDとパスワードを盗むウィルスであり、そこからIDやパスワードが流出したのである。このように利用者を装う場合もあるが、ウィルスが仕掛けられているWebサイトに誘導される。USBメモリなどの外部記憶媒体から感染させられることもある、また、ゲーム攻略サイトにウィルスが仕掛けられている可能性もあるとのことだ。
ゲームサイトのログインIDとパスワードを聞き出される被害
ゲーム中、「サイト運営者」と名乗る人物からチャット要求があり、運営者がサイト内をパトロールしているのかと思いチャットに応じた。その際、確認と称してユーザーIDとパスワードを尋ねてきたので教えてしまった。当然だが、悪意ある利用者が「サイト運営者」と名乗り、不正行為を行っていたのである。これ以外にも、「アイテムをあげる」、「アイテムを高値で買い取る」などという申し出をすることがあり、「ゲーム管理者」や「サイト運営者」を騙ることも少なくない。
被害に遭わないためには
このような被害に遭わないために、IPAでは以下のような対策を行うように提起している。まずは予防策として、一般的なウィルス対策と同様のことを行う。具体的には、
- OSやアプリケーションの脆弱性を解消する
- ウィルス対策ソフトを導入し、ウィルス定義ファイルを最新の状態にして使用する
- 自分が管理していないUSBメモリなどの外部記憶媒体を、自分のパソコンに接続しない、または自分が管理していないパソコンに、自分のUSBメモリなどの外部記憶媒体を接続しない
である。そして、ログインIDとパスワードを聞き出される被害に対しては、
- 知り合いの利用者でも、自分のユーザー ID とパスワードは教えない、たとえ家族・身内でも教えない
- 条件の良い取引を持ちかけられても相手にしない、うまい話の裏には罠がある
- ゲーム内の会話での誘導尋問に注意する
- ユーザーIDとパスワードを尋ねられたら要注意
相手は、巧みな話術でユーザーIDやパスワードを聞き出そうとする。相手からの質問に素直に答えた場合、内容によってはユーザーIDやパスワードにつながるヒントを言ってしまう可能性もある。また、パスワードについても、複雑で推測されにくいものにするようすべきである。また、サイト運営者がチャットなどでユーザーIDやパスワードを尋ねるということも本来あるべきことではない。IDやパスワードを尋ねられたら、その時点で注意をすべきであろう。
事後対策も忘れずに
このような被害の原因のほとんどは、ユーザーIDとパスワードの漏えいである。まずは、アイテムが盗まれたことに気づいたらすぐにパスワードの変更を行う。また、被害の原因の1つであるウィルス感染の確認を行い、ウィルスに感染している場合は駆除を行う。さらに、OSやアプリケーションの脆弱性をすみやかに解消すべきである。
同時に、IPAへ不正アクセス被害の届出をすることである。IPAでは、被害に遭った場合の対処方法の案内を行っている。また、このような対策を行っても、改善が見られない場合、ゲーム運営業者側の問題の可能性も考えられる。その場合、まずゲーム運営業者から当該被害の対応策が発表されていないか確認し、発表されていればその指示に従う。対応策やガイドラインがない場合は、直接、利用者自身でゲーム運営業者に問い合わせることも必要であろう。
さらに、被害状況によっては、警察への被害相談、被害状況の申告などもありうる。ゲーム運営業者に問い合わせても、かんばしい対応がなされない場合、最寄りの消費生活センターに相談するのも一案であるとのことだ。