ソニーの新型コンパクトデジタルカメラ「サイバーショット DSC-TX1」は、新しいCMOSセンサーの搭載による様々な新機能が注目されるが、タッチパネルが進化している点も見逃せないポイントだ。新型センサーなどの特徴はDSC-WX1の記事に任せるとして、ここではDSC-TX1のタッチパネルに注目したい。

DSC-TX1

DSC-TX1は、アスペクト比16:9、3.0型23万画素の液晶を背面に搭載する。Tシリーズの最新モデルという位置づけで、液晶にはタッチパネルを採用している。

タッチパネルを搭載しても薄型のボディ

Tシリーズの一部モデルでは、比較的早くからタッチパネルを採用して、背面にはほとんどボタンのないフラットで薄いボディと新しい操作性を実現していた。ただ、感圧式のタッチパネルのため、アップルのスマートフォンiPhoneのような静電容量式に比べて反応はやや鈍く、スワイプ(画面にタッチしたまま指をスライドさせるなぞり操作)やマルチタッチといったタッチパネルならではの操作性には非対応だった。

前面のレンズカバーをスライドさせると電源が入り、撮影可能になる。電源ボタンもあるが、ボタンを押さずに撮影ができるので使い勝手がいい

DSC-TX1では、感圧式のままながらスワイプに対応。タッチパネルの反応もよくなり、インタフェースも刷新され、使い勝手が向上しているのがポイントだ。

本体背面。再生ボタンだけがある。電源オフの状態から再生するためのボタンで、撮影時に画像を再生したい場合は、画面右下の再生アイコンをタッチすればいい

メニュー画面。アイコンが大きく、タッチしやすい

撮影時の画面は一見すると「DSC-T90」などと変わらないように見えるが、左側に並ぶアイコン列の右端にタッチして、そのまま右側になぞると紙を引き出すようにメニュー画面が飛び出す。メニュー画面を左になぞると逆に画面が収納され、さらに左になぞるとアイコン列が画面外に収納されるようになる。

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メニューの操作。アイコン列をスライドさせてメニュー画面を「引き出す」感じ。アイコン列にあるMENUアイコンにタッチしてもいいが、こちらの方が使っていて楽しい機能ではある

なめらかにメニュー画面が出入りするアニメーションは楽しく気軽に操作できる。16:9の全画面で撮影していたアイコンが邪魔に感じたら画面をなぞればアイコンが消えてくれる。メニュー表示とアイコン非表示の操作が一貫していて分かりやすく、使っていても楽しいアニメーションだ。

再生画面では、画像をなぞって前後の写真に移動することが可能になった。iPhoneなどでも実現していた機能だが、前後のアイコンをタッチするよりも直感的に、しかも楽しく操作できるメリットがある。

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再生画面では、画面にタッチしてなぞることで画像送りができる動作も軽快で使いやすい

こちらは画像拡大時の操作。再生したい個所にタッチすると拡大していく。縮小はマイナスアイコンをタッチする。全画面表示に戻したいときは「×」アイコンをタッチ

サムネイル表示にした場合もなぞる操作が可能で、サムネイルを指で動かし、見たい画像にタッチするという操作性は快適。画像の拡大は、拡大したところに連続してタッチしていく。縮小時には画面脇にあるマイナスのアイコンをタッチするか、×アイコンをタッチする。ダブルタッチで拡大縮小が行えるiPhoneの操作性の方が分かりやすい印象はあるが、操作性としては決して悪くはない。

タッチした場所にAFを合わせるタッチAFなどは従来通り搭載。さらに、新たにカスタマイズ機能を備えており、左のアイコン列に好きな機能をドラッグ&ドロップして登録することができるようになっている。

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画面上の好きなところをタッチしてAFを合わせるタッチAFは非常に直感的。動作も軽快だ

DSC-TX1に採用されているタッチパネルは感圧式だが、指やペンなどで画面を押すことで反応するため、爪や手袋をした状態でも動作するメリットがある。今回のDSC-TX1は全体的に従来と比べて反応は格段に良くなっており、静電式に近づいたという印象。なかなか快適に動作し、アニメーションの動きもなめらか。多少反応が鈍い場合もあるが、総じて違和感なく使える。

タッチパネルのメリットは、直感的に使えるという点だ。ハードボタンとは異なり、ボタンを押した感触がないため、タッチした瞬間に反応しないとユーザーはストレスを感じてしまう。そのため、反応が良くなったDSC-TX1は、タッチパネル搭載デジカメとして完成度がさらに高まったと言っていいだろう。