サムスン電子は16日、日本サムスン本社で報道関係者向けに説明会を開催した。同説明では、6月からシンガポールで行われた通信関連の展示会「CommunicAsia 2009」で展示した端末を日本で初めて公開。サムスンテレコムジャパン 端末営業部 部長 オウ・チャンミン氏が各端末の説明を行った。

2009年下半期のフラッグシップモデルとして展開する「Samsung Jet」。日本での販売は未定

端末の紹介、サムスンの事業戦略を説明するサムスンテレコムジャパン オウ・チャンミン氏

今回同社が展示・紹介したのは、Androidケータイ「Samsung GALAXY」、スマートフォンを超える高機能さを求めたフラッグシップモデル「Samsung Jet」、オールインワンタイプのWindows Mobileマシン「OMNIA II」、アディダスとのコラボレーションモデル「miCoach」、Bang & Olufsenとのコラボレーションモデル「Serene」「Serenata」。加えて、ソフトバンクモバイルから9月中旬以降に発売される「SoftBank 830SC EMPORIO ARMANI」についても説明があった。

Androidケータイ「Samsung GALAXY」。フルタッチでフラッグシップモデル

大型ディスプレイを持つ「OMNIA II」

スマートフォンよりスマートな「Samsung Jet」

東京の夜をイメージした「SoftBank 830SC EMPORIO ARMANI」

OMNIA IIは、3.7インチ有機ELを搭載したWindows Mobile 6.1 Professional端末。HSDPA(7.2Mbps)/HSUPA(5.76Mbps)に対応し、SD画質(480p)で30fpsの録画が可能なほか、動画の編集ができる(DivX、XviD、H.263、H.264、WMV、MPEG-4、Realなどに対応)する。加えて、オートフォーカス対応500万画素CMOSカメラ、GPS、Bluetooth2.0、USB2.0、Wi-Fiを搭載するほか、Opera v9.5、Microsoft Officeビューワーなどがプリインストールされている。サイズは118×59.6×11.9mm。

Samsung GALAXYは、Androidを搭載したフラッグシップモデル。3.2インチ(320×480ドット)の有機ELを搭載し、チップセットはQualcommの「7200A」(ARM11 528MHz+DSP 256MHz)を採用。通信方式は、HSDPA(7.2Mbps)、HSUPA(5.76Mbps)に対応する。モバイルカメラは500万画素カメラを搭載。機能面では、GPS、Bluetooth2.0、USB2.0、Wi-Fiをサポートする。このほか、MPEG-4、H.263、H.264、WMVの動画再生に対応するほか、ブラウザ「Chrome Lite」を搭載。サイズは115×56×11.9mm。

Samsung Jetは、3.1インチワイドVGA(480×800ドット)の有機ELを搭載したフルタッチ端末。800MHzのアプリケーションプロセッサとTouchWiz2.0を持つことで快適な操作性を実現している。機能面では、GPS、500万画素カメラなどを搭載。サムスン独自の独自ブラウザ「Dolphin」の採用により、Microsoft Exchange ActiveSyncが利用可能。

なおSamsung Jetは6月16日に、シンガポール、ドバイ、ロンドンの3都市で同時発表されている。日本で売れると分かっていれば、日本も同時発表の対象となったかもしれないとのことだ。

BANG & OLUFSENとのコラボモデル「Serenata」

BANG & OLUFSENとのコラボモデル「Serene」。背後のシルバーの機器が充電器

アディダスとのコラボ端末「miCoach」

続いてオウ氏は、サムスンの携帯電話事業について説明した。携帯電話事業はデジタルメディア&コミュニケーション事業と、デバイスソリューション事業の2つに分けられ、両事業の2008年の売上が約10兆円。内訳は、デバイスソリューションが30%、デジタルメディアが35.7%、通信が29.3%でそのほかが5%となっているという。通信関連では約88%が携帯電話、そのほかがネットワーク事業だという。年間販売台数は1億9600万台と2億台目前。2009年は2億台を超えそうとのことだ。

2008年には売上が約10兆円になるなど、順調に伸びてきている

シェアもノキアに次いで2位をマーク。シェアも順調に伸びてきている

提供する端末に関しては、2007年まではデザイン性と最先端技術を重視したハイエンド端末を投入。2008年以降は2億台を超えるためにエントリーからハイエンドまで全セグメントでトップを目指し製品の開発を進めるとした。ノキアが得意とするエントリーモデルについては、安く大量に生産するノキアに対して、ユーザーのニーズに対応した付加価値を持たせたモデルを投入することで、サムスンの強みを生かした戦略を推進する予定だ。特にタッチタイプに注力するとしている。

2007年までは高いデザイン性と機能を重視したハイエンド向けを中心に展開。2008年以降は全セグメントに向けた開発を開始し世界トップを目指す

全セグメントに向けた開発を展開する中でも、フラッグシップ端末としてはフルタッチを重視する

このような成長戦略を描くためには、ユーザーニーズの変化を的確につかみ、それを生産、販売に結びつける世界的なSCMが必要だという。サムスンでは1990年代半ばからこのような販売、生産、開発の拠点をシステムで結びつけたSCMを構築開始しており、「1990年代後半にはある程度満足できるシステムに仕上がった」とオウ氏は説明する。このSCMにより、生産、販売などの管理が3日で対応でき、決算の報告も3日でできるのだという。

欧米では成功を収めたサムスンだが、日本での戦略はこれからの状態だ。まだ日本のニーズをつかみかねている。韓国もニーズの変化が激しいが、そのニーズの方向性が日本とは異なるという。オウ氏によると、「韓国では携帯電話はPCと同じIT機器、日本では電話としての認識が高い」とのことで、不具合が発生すると韓国では電源を入れなおせばいいと考えるが、日本はサポートセンターなどへ連絡するユーザーが多いという。このような、「日本独自のニーズが徐々に分かってきた」とオウ氏は説明する。

オウ氏はまた、日本のユーザーは「製品に対する要求が非常に高い」と語る。そのため、機能や品質に対して「非常に勉強になる市場」になっているのだという。「日本向け製品の開発で学んだことを他国向け製品に活かせるという利点がある」とオウ氏は説明する。