東海道線で高速移動時のハンドオーバーをチェック

通信速度と共にモバイル利用で気になるのがハンドオーバーだ。XGPの2次エリア内でほぼ同じ移動条件を再現しやすい環境として選んだのは東海道線の品川駅~東京駅間。所要時間は約7分、途中停車するのは新橋駅のみで時間を選べば過密ダイヤの影響も受けない。もちろんこれだけ移動すればハンドオーバーは必ず数回は必要になる。そこで早朝にXGPとUQ WiMAXでそれぞれFTPでの受信を行い、ハンドオーバー性能と受信速度をチェックしてみた。

グラフはWindows XPのパフォーマンスモニターでネットワークインタフェースの送受信速度をモニターしたもの。縦軸は最大20Mbpsに設定してある。横軸の左から2/3程の位置が新橋駅での停車になる。

上がXGP、下がUQ WiMAXでの受信速度の推移。どちらも数カ所は明らかにハンドオーバーしている事が確認できる

結果としてはXGPでもUQ WiMAXでもデータ送受信が完全に途絶えた時間が発生した。異なるのはUQ WiMAXはインターネットから切断された上再接続に2度失敗し、3度目でようやくインターネットへの再接続が完了した事。当然FTP接続も切断されたのですばやく再受信を開始させている。XGPでも受信が途絶えた時間はあるが、インターネット接続は保持されFTP接続も途絶えなかった。

受信速度はどちらも平均で3Mbps程度と良い勝負。XGPは新橋駅への停車時と前後の移動速度の低下で結構通信速度を稼いでいるので、単に移動中の通信速度という点ではやはり基地局あたりのカバーエリアが広くハンドオーバーの回数が少ないであろうUQ WiMAXが勝っていそうだ。ただし移動中のインターネット接続については見かけ上のインターネット接続が途絶えない事も重要で、この点は現状XGPに分があると言える。再接続の問題はUQ側でも把握済で改善を施す予定と聞いているのであくまで現状だが、ウィルコムのPHSのデータ通信サービスの蓄積が反映された結果とも言えそうだ。

Air-EDGEの武器だったRTTはどうなった?

通信速度と共にワイヤレスインターネット接続では気にする人も多いのが遅延速度だ。一般には往復遅延時間(RTT=Round Trip Time)として表記される事が多く、データを送信してから送信先から受信確認が戻ってくるまでの時間を示し、往復遅延時間が短いほどデータ送受信をすばやく繰り返す事ができ、小さなデータの送受信ではその影響が大きい。送信元から送信先へのインターネット上の経路も影響するが、ワイヤレスインターネット接続では無線部分の影響も大きい。

ここではXGP、UQ WiMAXに加えてHSDPAの代表としてFOMAハイスピード、AIR-EDGE(4xパケット接続)の遅延速度を比較した。また無線LANとして、バックボーンがADSLのBBモバイルポイントと、バックボーンがFTTHのmopera Uも比較に加えている。検証は、これらが同時に利用可能な「New Yorker's Cafe 新宿エスティックビル店」で行った。

ここは店舗としてBBモバイルポイントを、建物としてmopera U(mzone)/HOTSPOT/フレッツスポットを利用でき、無線LANの電波状態も悪くない場所だ。検証は単純にコマンドプロンプトから「journal.mycom.co.jp」にpingコマンドを3回ずつ実行し、もっとも平均のping値(RTT)が短かった回をスコアとして取り上げている。

往復遅延時間(RTT)を計測

結果は表のようになり、XGPはバックボーンがADSLの無線LAN接続に匹敵する事が分かる。UQ WiMAXもワイヤレスインターネット接続手段としてはRTTは短いが、XGPとは大きな差がある。ちなみにUQ WiMAXは場所によっては平均で80ns台を記録する事も確認しているが、ここではあくまで同一場所、ほぼ同一時間での検証結果を取り上げた。試験サービス中という事でXGPに対して有利な条件下ではあるが、20ns台に達する事もあるRTTはかなり立派と評価できるだろう。

ポテンシャルの高さは間違いないXGP

一般公募の無い試験サービス中という事でまだまだ断定的な評価はできないものの、今回の検証で分かったとおりXGPのポテンシャルは間違いなく高い。理論最大値が20Mbpsで屋外、周囲の見通しが良い駅のホームという好条件ではあるが、安定して14Mbps超を記録した場所もあった点は予想外だった位で、送信が24駅平均で4.49Mbpsというのもモバイルインターネット接続手段としては破格。ただし受信速度ではUQ WiMAXは間違いなく強敵で本サービスでも先行する。後発となったWILLCOM XGPが本サービスまでにどこまでサービスエリアを提供し自由な基地局配置を活かしてくるか、期待して待ちたい。