デルは7月13日にプレスセミナーを開催し、OEM提供に関する提携により、イージェネラのリソース管理ソフトウェア「PAN Manager」をサーバに組み込んだ「Dell PAN System」を提供すると発表した。

PAN Managerは、物理サーバと仮想サーバを同じUIで管理できるソフトウェア。また、自動フェイルオーバーやディザスタ・リカバリ(DR)機能も提供する。

PAN Manageはもともと、イージェネラのブレードサーバ「Blade Frameシステム」専用の管理ソフトウェアだったが、同社は2007月11月、OEM提供することを表明。デルの「Dell PAN System」は、その戦略に基づいた製品提供となる。

イージェネラ 執行役員 マーケティング本部長 保阪武男氏

OEM提供を開始することになった背景をイージェネラ 執行役員 マーケティング本部長 保阪武男氏は、「小規模な案件では、価格が折り合わないことがあった」と語り、小規模にシステムにおける価格パフォーマンスが良い製品をPAN Managerのラインナップに加えたいという意向があったことを明らかにした。また、ユーザーからも他社のサーバをサポートしてほしいという要望があったという。

イージェネラのBlade Frameでは、576のCPUコアまで対応しているのに対し、デルの「Dell PAN System」では、128CPUコアまでの対応となっている。

保坂氏は、今後は他のメーカーに対するOEM提供を推進していくほか、2010年には現在ブレードサーバのラック単位で管理としているPAN Managerを、より上位レベルで統合管理できる製品を新たに投入する考えを明らかにした。

イージェネラは2010年に複数のPAN(Processing Area Network)を管理できる製品を投入する予定だという

「Dell PAN System」は、実際の仮想化環境を構築する物理サーバ「Dell PowerEdge M1000e」あるいは「Dell PowerEdge M610」と、PAN Managerを搭載するPE 2950IIIで構成される。そして、両社をつなぐスイッチが物理サーバ内に内蔵された形で出荷される。

「Dell PAN System」の構成

ソフトウェアである「PAN Manager」は、「PAN Builder」「PAN Server Portability」「PAN Portability」「PAN vmBuilder」が提供され、これらはデルのキッティングセンターで組み込み、検証を行い、ユーザーがすぐに使用できる状態で出荷される。

「Dell PAN System」の特徴

価格は、Dell PowerEdge M610(X5570×2、16GBメモリ)4台に、 Dell PowrEdge 2950III2台の構成で5年間の保守料を加え1100万円からとなっている。

プレスセミナーでは、Dell PAN Systemの国内初のユーザーとしてパナソニック電工インフォメーションシステムズ(パナソニック電工IS)の事例が紹介された。

パナソニック電工ISでは、親会社のパナソニック電工のサーバ2000台を統合する作業を2004年から開始しているが、2009年6月現在で11筐体245ブレードにて400台以上のサーバを統合しているという。

同社では、これらのサーバをPAN Managerを使って3名で管理しており、月額3000万円以上のコスト削減につながったという。

同社では、これまでイージェネラのサーバのみで「PAN Manager」を運用してきたが、6月よりスケジュール管理システムにDell PAN Systemを採用したという。そして、今後はさらに別の5システムで採用すべく、現在準備中だという。