日立コンシューマエレクトロニクス 代表取締役 取締役社長 渡邊修徳氏

7月1日、日立製作所のコンシューマ事業グループを分社した新会社である日立コンシューマエレクトロニクスが発足した。これに伴って開催された記者説明会では、同社の代表取締役社長を務める渡邊修徳氏が経営方針・事業計画を説明した。

同社のビジョンは「カスタマー・ファースト」である。同氏は、「景気が悪い今だからこそ、原点に帰って、顧客が欲しい物を提供していきたいと考えている」と、同ビジョンに込められている思いを説明した。

経営方針は、「高品質な製品とサービスの提供」、「営業主導型事業運営体制の深化」、「パートナーとの協業の強化」の3本柱から構成されている。経営方針については、「これまでマーケット主導の事業運営に転換することでビジネスのスピードを上げてきたが、さらに営業主導型にすることでよりビジネスのスピードを加速させたい。また、開発から販売までの事業を1社ですべて行うことは難しくなってきている。当社は自社の強みを生かす形で合弁会社を作ったり、M&Aを実施したりすることで、事業を拡大してきた。これからもその傾向を強めていく」という説明がなされた。

同社の事業内容は薄型テレビ・業務用液晶プロジェクターなどの開発・製造・販売。2009年度の売上計画はグループ連結で約4,000億円、単独で約1,600億円である。売上の内訳はB2Bが70%、B2Cが30%。利益計画については、2009年下期で製品損益黒字化を、2010年度営業利益黒字化を目指す。

B2C事業である薄型テレビ事業の方針は、「事業規模に見合った経営基盤の確立」である。国内の商品は、高付加価値化を実現するために、「高画質」、「録画」、「ネットワーク対応」を進めるという。「薄型テレビの15モデルすべてにハードディスクを内蔵し、ワンタッチ録画機能とダウンロードサービス機能を搭載した」と同氏。また、開発面では原価の削減を図るのが目標だ。同氏は、「これまでプラズマテレビと液晶テレビのエンジンは異なっており、4種類のエンジンが存在していた。機能を集約することでエンジンを1種類にしたので、原価削減が見込める」と述べた。

液晶プロジェクターと光ストレージを扱うB2B事業の方針は、「ワールドワイドでの販売強化と新製品投入」である。液晶プロジェクターについては、63cmの距離で80型の大画面を投射できる高機能モデルの拡大を目指していくとともに、低価格モデルについてはコストダウンによってシェアを広げていきたいという。液晶プロジェクターの昨年のワールドワイドのシェアは11%であり、本年度は18%に伸ばしてシェアトップを獲得したい構えだ。

エコポイントの効果を問う質問に対して、同氏は「今のところ、エコポイントを目的とした客は量販店に殺到しており、地域店に影響が及ぶのはこれからのようだ。もっとも、エコポイントの影響で売上が伸びた液晶テレビのUTシリーズの6月の地域店の売上は前月比30%増と大幅に伸びている。また、エコポイントサポート販売店の制度は歓迎。地デジのアンテナ工事など、きめ細かなサービスを得意とする地域店において需要増が見込めるはず」と回答した。

左から、代表取締役 取締役社長の渡邊修徳氏、常務取締役 デジタルコンシューマ事業部長兼CIOの藤井禎三氏、常務取締役 ソリューションビジネス事業部長の山田健勇氏