「システム」の開発工程
最初は誰しも、プログラミングやテストなどの仕事からシステム開発に携わりはじめるものです。詳細設計書やプログラム仕様書、テスト手順書などを受け取って、プログラムやテスト結果を成果として提出します。
その入力となるプログラム仕様書やテスト手順書は、いつ誰が作っているのでしょうか。それらを作るためには、なにを入力としているのでしょう。また、みなさんが作ったプログラムは、その後、誰がどのように扱うのでしょう。
もちろんシステムを作る目的は、それを実際に利用してなにかの役に立てることですから、最初は「なにの役に立てるか」を考えるところから始まり、最終的にはユーザの手許に届けて使ってもらうことになります。その流れの中に、みなさんの仕事が存在するのです。
「なにの役に立てるか」「そのためにどんなシステムにするか」を考えるのが、「企画・要件定義」と呼ばれる最初のステップです。続いて「そのシステムをどう作るか」を考える「設計」が来ます。その先に「プログラムを作る」実装のステップが来ます。もちろんソフトウェアをプログラミングするのに並行して、先述の構成要素それぞれを準備していきます。次にはモノが正しく作られて正しく動作して、想定どおりに役に立つかを検証するテストの段階を踏んで、その先に実際に利用される準備を行います。構成要素を実際に組み上げて、必要なデータを用意・登録し、ユーザが利用できるようにマニュアルを整備したり、操作をトレーニングします。最終的に、ユーザの手許で利用されるようになってからも、日々システムを安定稼動させながら、新たな要望や不具合に対応した改修を行う、保守・運用の仕事が待っています。
このようなシステムの開発工程の中で、前工程を理解して自分の仕事を段取りしたり、後工程を理解してスムーズに行くような工夫をしたりとレベルアップできますし、前後に活躍の幅を広げていくことも可能です。
「システム」にまつわる仕事と人
システム開発の仕事といっても、このように様々な対象・様々な構成要素・様々な工程にまたがる多様なものです。さらにはプロジェクト・マネジャやリーダ、営業といった、それとは別の軸で語られる役割もあります。
本企画では、各工程の詳細記事を5本用意しているので、ぜひ一度通読し、システム開発という仕事の全体像を、ぼんやりでもよいので頭に入れてください。今の自分、将来の自分をその広大な世界の中にうまく位置づけることで、日々の仕事をより一層楽しめるようにもなれますし、将来のステップアップにも繋げていくことができると思います。
執筆者紹介
山本啓二(YAMAMOTO KEIJI)
- ウルシステムズ コンサルティング第2事業部 副事業部長
独立系ソフトベンダーを経て、2001年入社、2009年より現職。アーキテクチャおよび開発プロセスにまつわるコンサルティングに多く携わる。著書に、「そこが知りたい 最新Webアプリ開発のお作法(共著・翔泳社刊)」、「プログラマの本懐(日経BP社刊)」。