HEWDD-768を活用した2種類のVRデモ

デモンストレーションは2タイプ用意され、1つは高層ビルの火災現場に出くわした被験者が脱出するというゲーム感覚のもの。

HEWDD-768本体にモーショントラッキング用のマーカーが実装されており、さらに被験者の足にもマーカーを取り付けることになる。これにより、デモエリアを歩き回ると、HEWDD-768内の視界CGもこれに連動して動くため、本当にCG世界のビルの室内を歩き回っているような気分になる。

HEWDD-768と被験者の足にマーカーを付けて、VICONのモーションキャプチャシステムで、被験者の位置と視線方向をトラッキングする

デモでは、室内から窓を通って外に出て、ビルの壁のヘリを伝ってゴンドラへ飛び移るのだが、HEWDD-768の視界にはほぼ視覚が存在しないため、没入感が凄まじく、ビルのヘリを伝っているときに視線を足元に向けると、地上が遥か下に見えて足がすくむような高所恐怖感が得られる。実際には存在しないが、視界CGには手すりが見えるため、被験者の中には、実際には有りもしない手すりを掴もうとする動作をする人や、足元に視線を降ろした途端に悲鳴を上げる人もいた。まさに、システムの完成度の高さが証明された格好だ。

実際に被験者が見ている視界の一部を表示した映像。見えている靴は、被験者の足に取り付けたマーカーをキーにしてVR空間に表示している

なお、被験者のモーショントラッキングには、VICONの光学式モーションキャプチャ・システムを使用していた。

ゴンドラに飛び乗るときにあまりの高所恐怖感に倒れ込む被験者も!

もう一つのデモは、HEWDD-768とVICONの光学式モーションキャプチャーシステムに加え、フランスのINRIAが開発したリアルタイムの3Dスキャニングシステム「4D VIEW」を組み合わせたものであった。

これは、被験者を中空4台、上空4台、合計8台のカメラで捉えたリアルタイム映像を元に、リアルタイムに被験者のテクスチャ付き3Dポリゴンモデルを取得して、表示までを行うシステムだ。

映画制作で用いられるような俳優を高品位でデジタル3Dスキャンするシステムとは異なり、こちらはむしろリアルタイム性を活かした用途にフォーカスしたシステムとなっている。具体的には、被験者をリアルタイムに3Dモデル化してバーチャルリアリティ空間(CG世界)に出現させて、CG世界でのインタラクションに役立てるような活用だ。

デモでは、被験者を走行中の車の中に出現させ、車内を移動したり、車のステアリングを触ったりすることが出来るようになっていた。

最大の特長は、バーチャルリアリティの中にCG化された自分の身体が出現すること。

単なる一人称視界がHMDから見えるのではなく、視線を下に向ければ自分のCG化された身体が見え、腕を伸ばせばCG化された自分の腕が見える。ちゃんと自分の着ている衣服などのテクスチャも再現された、まさしく自分自身のCGがバーチャルリアリティ世界に現れるので、CG世界のセットやオブジェクトとの距離感がより掴みやすいVRが実現される。

被験者の視界の一部。映っている手は被験者の手がリアルタイムでCG合成されたもの

被験者の映像。車内で何か操作している様子

外部視点。HEWDD-768を被った被験者がCGの車内に見える

例えば今回のデモのように、新規設計した自動車の室内をバーチャルリアリティの世界に出現させ、自分の身体が車内空間にどう収まるのか、あるいは車内での各種運転操作が自分の身体でどういう距離感で実現できるのか……といったことを確かめることが出来るのだ。

価格はかなり高価で、カメラ8台のシステムで1,900万円、カメラ40台のシステムで9,500万円となっている。システムで対応できるカメラ数は最大80台までだとのこと。