約1年ぶりの発売となったシャープのノートPC「Mebius」シリーズ。スペックだけ見るとついにNetbook市場に参入か、と思うところだが、世界初となる光センサー液晶の搭載によってノートPCの新たな使い方を提案するオリジナリティあふれる製品となっている。高い完成度の液晶やキーボードなど、抜群の使いやすさも大きな魅力だ。

主な仕様  [CPU] Intel Atom N270(1.60GHz)  [チップセット] Mobile Intel 945GSE Express  [メモリ] 1GB(最大2GB)  [HDD] 160GB  [ディスプレイ] 10.1型ワイド(1,024×600ドット)  [サイズ/重量] 約W260×D190×H23.3~39.8mm/約1.46kg  [OS] Windows Vista Home Basic  [構成例価格] 80,000円前後  [発売日]5月15日予定

タッチパネル機能を備えた光センサー液晶を搭載

すでにひとつのジャンルとして定着しているNetbookを含むミニノート。世界でも高いシェアを持つASUSやエイサーなどが、薄利多売が可能なメーカーだからこそ実現できる価格の安さで日本でも人気を集めているが、2009年になってから国産メーカーの逆襲がはじまった。日本人が求める使いやすさ、デザイン、先進性を備える製品が増えているのだ。

それを象徴していると言えるのが、シャープの「Mebius PC-NJ70A」だ。シャープといえば、圧倒的な薄さで強烈なインパクトを与えたムラマサなど、個性的なノートPCを数多く送り出してきたメーカー。実に1年ぶりとなる新機種も、その流れを感じさせる独創的なモデルだ。

「Mebius PC-NJ70A」は、スペックだけを見ると、ディスプレイが10.1型ワイド液晶(1,024×600ドット)、CPUはIntel Atom N270(1.60GHz)、メモリは1GB、HDDは160GBといわゆるNetbookとほぼ同じ。ただし、OSはWindows XPではなく、Vista Home Basicである点が異なっている程度といえる。

しかし、本機が普通のNetbookと大きく違うのは、タッチパッド部分にPCでは世界初搭載となる「光センサー液晶」を備えていること。これは、簡単にいえばカーソルを動かすためのポインティングデバイスとタッチパネル液晶が一体化したものだ。メインの液晶とは別に、サブ液晶が備わっているモデルともいえる。

この光センサー液晶が、本機をとても面白いものにしている。まず、目を引くのが画面表示の鮮やかさだ。一般的なタッチパネル液晶は、液晶表面に触れたことを感知するタッチセンサー膜を貼り付ける必要があるため、通常の液晶よりも表示の品質が低くなりがちだった。

しかし、光で画面に触れたかどうかを検知する光センサーでは、表面に膜を貼り付けたりする必要がないため、通常の液晶と同じ表示品質を実現。しかも、わずか4型の小さな画面ではあるが、解像度は854×480ドットと高く、65,536色表示が可能となっている。さすが液晶テレビで有名なシャープと思わせる鮮やかさだ。加えて、マルチタッチやジェスチャー操作にも対応している。

マウスモードでの光センサー液晶。カレンダーなどを表示できる