一般的に、どんなに連写スピードが速くても、1コマ目を押すタイミングを逃すと決定的瞬間を撮ることはできない。つまりカメラ性能を生かすには、撮影者の腕や反射神経が問われてしまう。だが、EX-FC100なら腕に自信がなくても心配は要らない。誰でも簡単に連写を楽しめるように、さまざまな工夫が盛り込まれているからだ。

そのひとつ「パスト連写」は、従来シリーズから継承した、高速連写をサポートする機能だ。仕組みは、シャッターボタンの半押し状態からバッファメモリ内に画像を一時記録し続け、シャッターを全押しした瞬間に、3~25コマの間で設定したコマ数分をさかのぼって最大30コマの画像を記録する、というもの。たとえばジャンプの瞬間を撮る場合、シャッターを半押ししていれば、着地した時点で全押ししても、宙に浮いたベストタイミングの写真が撮れる。

また、パスト連写の応用として「タイムラグ補正」機能を新搭載した。こちらは、連写ではなく1枚撮影モードの場合に、記録のタイミングを前にずらす機能だ。シャッターを全押しした瞬間から「0.3/0.2/0.1」秒前にさかのぼって1コマを記録できる。

連写の記録のタイミングを前にずらす「パスト連写」の設定画面

単写の記録のタイミングを前にずらす「タイムラグ補正」の設定画面

「スローモーションビュー」もユニークだ。ボディ上部のSLOWボタンを押すと、1秒間(30fps)、または2秒間(15fps)や3秒間(10fps)の画像がバッファ記録され、直後にスローモーション映像として繰り返し再生される。その映像を見ながら、好きなタイミングでシャッターボタンを押せば、その瞬間の1コマのみを記録できる。同様の機能がEX-F1にもベストショット機能の一つである「スローライブ」として搭載されていたが、専用ボタンを用意することでより使い勝手が向上している。

バッファ記録した映像を見ながら撮影を行う「スローモーションビュー」

「スローモーションビュー」用のSLOWボタンを新装備する

シーンモードに相当するベストショット機能の中にも、高速連写を生かした独自モードを満載する。新搭載の「いち押しショット」は、連写と顔認識の併せ技だ。これを選ぶと自動的に連写が行われるが、保存されるのは連写した中の最良の1カットのみ。つまりカメラの判断によって、最もブレのない画像、または人物の目つぶりが最も少ない画像や、人物ができるだけ笑顔の画像が保存される、という仕掛けだ。

記念写真を撮る際に役立つ「いち押しショット」の設定画面

さらに、従来機から継承した撮影モードとして、画面内に被写体が入った瞬間や出る瞬間に連写を行う「ムーブイン連写/ムーブアウト連写」や、動いている被写体を1画像内に自動合成して記録する「マルチモーション」、連写画像を自動合成してブレのない画像に仕上げる「HS手ブレ補正」、「HS夜景」などを搭載する。

注意点は、これらの連写の応用機能では、写る範囲が通常の画角よりも一回り狭くなること。また記録画素数はフル画素の9メガではなく、6メガ相当になる。だが、それでもスナップ撮影用には十分な実用性がある。カメラメーカーの製品にはあまり見られない、カシオならではの柔軟な発想による付加機能といえそうだ。……続きを読む

「HS夜景」では、手持ちか三脚撮影かをカメラが自動判断し、感度などを最適化してくれる

「HS夜景」で手持ち撮影。自動的に高感度になり、さらに連写と画像合成が行われ、手ブレが目立たない画像を記録できる。高感度ノイズは見られるが、手持ちで気楽に夜景を撮れるのは便利だ

「HS夜景」で三脚撮影。ブレがないとカメラが判断した場合は、自動的に低感度+低速シャッターになる。左のカットと同じ位置から撮影したが、より広範囲が写り、画質はより美しい

「HS手ブレ補正」は、「HS夜景」の手持ち撮影時と同じく、自動的に連写と画像合成が行われる

「HS手ブレ補正」で撮影。ズームのテレ側での撮影時や、光量が乏しいシーンで役立つ