G DATAは、世界的な経済不況を背景としたスパムメールが急増していることを発表した。さらに最近のインターネットの脅威について分析を行い、注意を喚起している。

スパム状況

2008年からの急激な景気悪化もスパマーにとっては、かっこうのネタとなっている。最近のスパムメールの件名には、「キャッシング」、「おまとめローン」、「特別金利」、「レディースローン」、「急な出費に素早く対応」といった文字列が含まれる。このような「金貸し」スパムメールが世界的に急増している。

G DATAの調査によると、「金貸し」つまり「ローン」関連のスパムメールは、2008年10~12月には全体の3%しかなかった。ところが、2009年1~3月には25%も増加し、全体の28%となっている。逆に、これまでスパムメールの定番ともいえる「薬」関連スパムメールは、42%から一気に3位に転落、19%にまで下降した(図1)。

図1 スパムメールの件名による分類

この傾向は、英文メールのみならず、日本でも「CityBank」(正しいのはCitiBank)や「三井住友銀行グループ」、「三菱UFJ信託銀行」の名を騙った日本語によるスパムが増加している。 また、メールトラフィックについては、2009年1~3月においては72%がスパムで占められていた。2月の最も低いときで65%、1月上旬の最も多いときでは96%を記録している。メールトラフィックに占めるスパムメールの割合は、高水準が続いており、不審なメールには十分な注意が必要であろう。

ウイルス感染サイト

マルウェアに感染する危険のあるWebサイトについては、「アダルト系」が2位から1位に上昇し、9位に「職探し」のサイトがランクインしている(表1)。これも、スパムメール同様に経済不安の影響と考えられるとのことだ。また、「犯罪&違法行為」が1位から一気に6位に転落したことにも注目したい(「スパム状況」と同様に 2008年10~12月と2009年1~3月との比較)。

表1 危険なWebサイトのコンテンツ別ランキング

順位 内容
1位 アダルト系
2位 コンピュータ技術
3位 ストリーミング&ダウンロード
4位 ビジネス
5位 検索エンジン&ポータル
6位 犯罪&違法行為
7位 ショッピング
8位 健康&医療
9位 職探し
10位 教育

フィッシングサイト

これまで多かった「SNS」や「ダウンロードサイト」が急落し、「健康&医療」が1位になり、「チャット」、「Webメール」も急増している(表2、「スパム状況」と同様に2008年10~12月と2009年1~3月との比較)。Webサイトでの個人情報の入力には、くれぐれも注意をしてほしい。

表2 フィッシングサイトのコンテンツ別ランキング

順位 内容
1位 健康&医療
2位 Webメール
3位 ファイナンス
4位 コンピュータ技術
5位 チャット
6位 検索エンジン&ポータル
7位 SNS
8位 個人サイト
9位 ダウンロードサイト
10位 政治関連