「医薬品購入が困難な場合」の定義で議論

その後検討会では、前回の第3回会合で事務局が提示しながらも時間が足りずに議論ができなかった検討会の論点について、意見が交わされた。

事務局が示した論点は、以下のようなっている。

1. 薬局・店舗では医薬品の購入が困難な場合の対応策

・ 薬局・店舗では医薬品の購入が困難な場合の実状

・ 薬局・店舗では医薬品の購入が困難な場合の対応策

・ いわゆる伝統薬の販売方法

2. インターネット販売等を通じた医薬品販売の在り方

・ インターネット販売等における責任の所在

・ 個人認証

・ インターネット販売などにおける情報提供・相談対応

・ 年齢・使用対象者などが限定されている医薬品の販売

今回事務局から示された「論点ペーパー」では、上記論点に基づき、これまでの構成員の発言をまとめた形でさらに詳細な検討課題を記載。座長で北里大学名誉教授の井村伸正氏が、これらの検討課題を確認しながら、各構成員から意見を求めていった。

論点1の最初の項目「薬局・店舗では医薬品の購入が困難な場合の実状」に関してはまず最初に、「困難な場合」の定義について議論。楽天会長兼社長の三木谷浩史氏は、「大衆薬は約4,000種類あるが、いくらのコストでどのくらいの納期で販売できるかという実用的かつ経済合理的な面からも議論すべきだ」と主張。一方、日本置き薬協会常任理事長の足高慶宣氏は、「医薬品が届くかどうかというミニマムアクセスの観点から議論すべきだ」と述べたが、双方とも「困難な場合」の定義を明確にすべきという点では一致した。

これに関し、一橋大学大学院法学研究科教授の松本恒雄氏は、「薬を買う場合は症状が出てから買う場合が多いと思うが、ネットで買う場合は薬局で買うには恥ずかしいからなど、必ずしも緊急ではない場合も多いのではないか。緊急性の観点から議論してもいいのではないか」と提案した。

論点1の3つめの項目「いわゆる伝統薬の販売方法」については、三木谷氏が「伝統薬だけを特別扱いにするのはおかしい」と主張。さらに、「伝統薬の定義が不明確」と述べた。松本氏も「伝統薬と言ったら漢方薬っぽいものをイメージするが、西洋薬もあるなど明確ではない。議論するなら、製造直販をする事業者に関する特別なルールを作るべきかどうかといった議論をしていくしかないのではないか」と指摘。これらの発言を受け、検討会では次回会合において、全国伝統薬連絡協議会の綾部隆一氏から、伝統薬の定義について説明がなされることになった。

「インターネット販売の在り方」については次回持ち越し

論点の2「インターネット販売等を通じた医薬品販売の在り方」については、議論が始まった途端に紛糾。増山氏は、「この論点について、困っている人の救済策の中(の文脈)で議論をするのか、利便性の観点から議論をするのか、もう少しはっきりしてほしい」と要望。また、「ネットにはざまざまな業者がいる中で、この検討会の議論がどこまでネット全体に対して責任を負うことができるか明確ではない」と指摘した。

足高氏もこれに関連し、「そもそもこの検討会は、省令を円滑に施行するための議論を行うものだったはず。なぜこのまま(インターネットによる販売の在り方についての)議論が進行していくのか。前回と同様、この検討会の閉会動議を提起する」と検討会の終了を求めた。

これに対し井村座長は、「舛添厚労相もそれなりの理由があってこの検討会の開設を指示したのだと思う。せっかくここまで議論を行い、論点もはっきりしてきたのだから、具体的な内容について今後も議論してほしい」と述べ、構成員に議論の継続を求めた。

検討会終了後、三木谷氏は記者団に対し、「これまでの議論の感触は分からない」と述べた

検討会終了後、検討会について三木谷氏は、「これまでの議論で(今後どうなるのか)の感触は分からないが、(このまま6月に省令が施行されると)大変多くの人が困る」と説明。「施行間近になったことで、楽天で医薬品を販売している事業者に何か動きはあるか」との質問には、「新規出店はないが、閉店するところもない」と述べた。

次回第5回会合は4月28日に予定されている。省令施行約1カ月前になってようやく、インターネットによる医薬品の安全な販売方法についての議論が本格的に行われることになる。