「Keynote」は、スライドトランジションに「マジックムーブ」が加わったのが大きな目玉。これは、スライド内のオブジェクトを軌跡を描くように動かす機能。PowerPoint 2007にある「アニメーションの軌跡」や、Keynoteに従来から搭載されている「移動」エフェクトに若干似ているが、もっと直感的で設定も簡単に行える。たとえば、「アニメーションの軌跡」や「移動」エフェクトの場合は各オブジェクトごとに軌跡を設定しなければならない。しかし、マジックムーブの場合はオブジェクトの位置が異なる2枚のスライドを用意して、トランジションのリストから「マジックムーブ」を選ぶだけでいい。複数のオブジェクトがあっても、自動的にそれぞれのオブジェクトを軌跡を描くように動かせる。

「マジックムーブ」を適用した例。スライド内のオブジェクトを、軌跡を描くように動かせる

この他、テキストやオブジェクトのトランジションもパワーアップしており、プロが作成したような効果を簡単に加えることが可能になっている。また、3Dグラフにリアルなテクスチャを加えたり、アニメーションをつけたりするのも容易になった。さらに、Wi-Fi経由でiPhoneやiPod touchからスライドをリモート操作することも可能になっている。

「Keynote」のテキストトランジション。非常に洗練されたエフェクトを簡単に加えられる

まとめ

iWorkは、現在のところ対応プラットフォームがMac OS Xに限られており、Windowsでネイティブファイルを開くことはできない。また、Microsoft OfficeやOpenOffice.orgなどの、他のオフィススイートに比べると普及率もまだまだ低い。そのため、作成したデータを他人と共有する目的にはあまり適していない。

しかし、個人で文書を作成したり、データを管理したりするなら、他のソフトよりも、使い勝手にすぐれる場合が多い。とくに、見栄えのよい文書を手軽につくりたいといった用途にはピッタリだ。

現状では、Microsoft Officeを置き換える製品とまではいえないが、併用してMicrosoft Officeの足りない部分を補うにはちょうどいい製品だと思う。個人的には、Pagesに縦書き機能が搭載されていないのが残念だが、それ以外の部分では大きな不満はない。Microsoft Officeと併用していても、使用する頻度はiWorkの方が多いくらいだ。使いやすいオフィススイートを探している人には、ぜひ目を向けてもらいたい製品である。

■仕様
製品名 iWork '09
バージョン 09
対応機種 PowerPC G4(500GHz以上)/G5以上、Intelプロセッサ搭載Mac
対応OS Mac OS X 10.4.11または10.5.6以上(QuickTime 7.5.5以上)
メモリ 512MB(1GB以上推奨)
HDD空き容量 1.2GB以上
価格 8,800円