ウィルコムは、3月19日に行われた「MCPC award 2009」表彰式において、同社製品を活用した事例がモバイルコンシューマー賞およびモバイル中小企業賞を受賞したと発表した。

MCPC awardは、モバイルコンピューティング導入により成果を上げている企業や団体・自治体を表彰し、事例を広く紹介している。2003年から開催されており、通信キャリアやコンピュータ関連のハード/ソフト/サービスベンダーを中心に組織された、モバイルコンピューティングシステム市場の拡大を目的とする任意団体「MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)」が運営している。

今回モバイルコンシューマー賞を獲得した「ポケットカルテ」は、NPO法人日本サスティナブル・コミュニティ・センターのプロジェクト「どこカル.ネット」とウィルコム、アビウス、メディカルコミュニケーションが共同で開発した個人向け情報管理サービス。質の高い医療環境の実現や、医療費削減、予防医療・遠隔医療の促進を目指す取り組みを評価されたことが受賞理由となった。

ポケットカルテでは、電子カルテの国際標準であるHL7形式の医療情報を安全に作成・保管する環境を提供。どの医療機関でも閲覧・保存が可能なほか、自分の判断で公開情報・非公開情報に分類することもできる。同サービスを導入することで、ブラウザからいつでも自分のカルテを閲覧したり、血液検査やレントゲン画像を登録することで別の医療機関にかかる際の再検査を省くことができるという。

化粧品や入浴剤の製造・販売を行うヤマサキが受賞したモバイル中小企業賞は、「WILLCOM D4」と超小型バーコードリーダーを組み合わせたバーコード読取型トレーサビリティ・モバイルシステム「アビリティ」を開発導入し、在庫管理業務の効率化を実現。市販のモバイルツールを活用してIT化を達成した企業力が評価された。

同社の発表資料によると、アビリティの開発費として当初約500万円を見込んでいたが、実際にかかった費用は約50万円。市販の端末をそのまま使用でき、既存システムのカスタマイズも画面調整のみで済んだため、開発期間は2日間だったという。このシステムにより計数作業ミスが軽減されることで、流通部門において約11%の間接コスト削減を予測。さらに今後「WILLCOM CORE 3G」の本格稼働により、各地の委託倉庫でもストレス無く利用できるようになるとしている。

なお今回のMCPC awardグランプリは、九州電力の「配電ケータイモバイルシステム」が受賞。同団体のサイトでは授賞式の模様や各賞受賞者が紹介されている。