ブラザー工業は12日、電子ペーパーを使用した薄型電子ビューワ「ブラザー ドキュメント ビューワ SV-100B」を6月1日に発売すると発表した。目標販売台数は年間5000台。法人向けでオープンプライスだが、ブラザーの直販サイトでの直販価格は139,800円。

薄型電子ビューワ「SV-100B」は、ディスプレイ右側に操作ボタンを集約

ブラザー工業 執行役員 神谷純氏。「SV-100B」を開発した背景を説明した

発表会では、ブラザー工業 執行役員 神谷純氏が薄型電子ビューワ開発に関する新規事業について説明。ブラザー工業は、カラーレーザー複合機やインクジェット複合機を手がけるプリンティング・アンド・ソリューション事業、ミシンを提供するパーソナル・アンド・ホーム事業、工業用ミシンなどのマシナリー・アンド・ソリューション事業と3本の事業柱があるが、それに追加する形で新規事業の開拓を進めている。その新規事業のひとつが、ネットワークイメージングデバイス(NID)事業で、多様な働き方や、能力向上を支援し、生産性・創造性をより高めるためのビジネスツールの提供を目指している。

「SV-100B」は、このNID事業の新製品で、プリンターを補完するビジネスツールとして提供。紙を消費しない、紙の運搬、保管、廃棄が必要ない、印刷後のコストを低減できる環境に優しい次世代メディアとして開発したことを説明した。

ブラザーが注力する新規事業分野としてネットワークイメージングデバイス事業を紹介。その新製品が「SV-100B」となる

「SV-100B」を紹介するブラザー工業 NID開発部 プロジェクト・マネジャー 藤井則久氏

続いて、ブラザー工業 NID開発部 プロジェクト・マネジャー 藤井則久氏が「SV-100B」の概要を紹介した。米E・INK製の反射型電子ペーパーパネルを採用し省電力を実現。携帯電話より大画面、PCより簡単な操作、紙資料より携帯性に優れるなど、読みやすさを追求。データを暗号化し、暗証番号によるロック機能を持つなど高いセキュリティを確保している。同梱ソフト「SV-Manager」でデータの整理/管理を行い、A4サイズ10,000枚分のデータが保存可能。表示切り替え1秒以下のディスプレイは9.7インチと大型で約150dpiの高精細モノクロ4階調。直射日光の下でも見やすいなど、高い視認性を持っている。起動は5秒以内で約63時間の連続使用(1分回に1ページを閲覧すると約5,000ページ)が可能。厚さ15.5mm、質量約600gの、携帯性に優れた薄型軽量モデルとなっている。

次世代メディアとして省電力、読みやすさ、高いセキュリティを持つ製品として「SV-100B」は開発された

印刷機能を使い、Wordなどのドキュメントを「SV-100B」専用フォーマットに変換する

同梱している「SV-Manager」を使って、「SV-100B」内のドキュメントファイルを管理する

また、Bluetooth機能を搭載し、スマートフォンなどと連携が可能だが、通信機能の内蔵は考えていないとのこと。タッチパネルを非搭載としたのも、稼働時間を重視したため。1回充電すれば、1週間程度であれば充電なしで稼働するという。50,000円クラスのPCと比較した場合、「SV-100B」は機能的には低いが、PCに不慣れな人へのトレーニングやメンテナンスなどの費用が不要になること、長時間稼働するバッテリー寿命により可搬性に優れること、大画面液晶を持ち視認性が高いことなど「SV-100B」の優位性を説明した。カラー化は検討中で、優れた電子ペーパーデバイスがあれば採用するとした。

各種設定は画面上で行う。ファイル選択などの操作も行える

想定している市場は、たとえば、分厚いサービスマニュアルを片手にメンテナンスを行うような特定用途の市場で、さらに弁護士、医療カルテ、営業資料といった大量の紙資料を使っている分野への拡販を目指す。社名は明かせないがすでに2社、導入を前提にした評価が終わっているとのこと。今後、導入事例も発表していくとした。

データ格納用に2GBまでのmicroSD、セキュリティでは128bit AESに対応。サイズは237×247×15.5mmで質量約600g。OSは非公開だが、携帯端末によく用いられている汎用OSを使用しているとのこと。堅牢さでは、70cmからの落下でも耐えられる。