データセンター向けのストレージネットワークベンダーのブロケード コミュニケーションズ システムズ(以下 ブロケード)は、米ブロケード シニアバイスプレジデント イワン・ホワイティング氏の来日に合わせ、事業ビジョンや戦略についての記者説明会を開催した。

米ブロケード ワールドワイド・セールス担当シニアバイスプレジデント イワン・ホワイティング氏

米ブロケード ワールドワイド・セールス担当シニアバイスプレジデント イワン・ホワイティング氏は、冒頭「ユーザーが過去5-15年間に展開したネットワークでは、現在のデータトラフィックの増加や、さまざまなデータタイプには対応できない。これに対応するためには、ユーザーは2つの選択肢がある。1つは、現状のまま我慢して問題を先送りするかで、もう1つは標準化されていない新しいテクノロジー製品を導入することだ」と述べ、将来のデータ量の拡張を見据えたネットワークを導入するには、単にデバイスを追加するだけでは対応できず、より少ないリソースでより大きなメリットをもたらす標準化された新しいテクノロジが必要だと述べた。

そして、同社が提唱するのはパートナーとのエコシステムを中心とする6つの要素を持った「Extraordinary Network」(普通のレベルを越えたネットワーク)だ。6つの要素とは「高性能」「信頼性」「インテリジェントな革新性」「ライフサイクル・コストの最適化」「シンプルな運用」「優れたエネルギー効率」だ。

高性能とはスピードのことで、 イワン・ホワイティング氏は、それに加え「アップグレードが可能で、コンポ-ネントの変更が不要であることが重要だ」と述べた。

信頼性では、これまで同社が取り組んできたSAN(Storage Area Network)における信頼性を、IPネットワークの世界に展開すること、インテリジェントな革新性とは、ユーザーにより実践的な解決策を提供すること、ライフサイクル・コストの最適化とは、単にデバイスの購入費を削減するだけでなく、管理容易性などによる管理費の削減、アップグレード費用削減などライフサイクル全体を削減すること、シンプルな運用とは一元化された管理コントロールツールなどの提供により運用を簡素化し、TCOの削減につなげること、最後の優れたエネルギー効率とは、電力消費や排熱の少ないデバイスを提供することだという。

「Extraordinary Network」に必要な要素

各要素に求められる内容

そして、同社がSAN(Storage Area Network)で養った信頼性を、IPネットワークの世界に展開することを具現化するための施策の1つが昨年7月に発表したFoundry Networks(ファウンドリーネットワークス)社の買収だ。買収金額は26億ドルで、手続きは昨年の12月に完了したという。これにより同社は、従来からあるSANに加え、Foundry Networksが扱うネットワーク・スイッチングやルーティングなどのIPネットワーク事業を補完した。

同社ではこれに伴い、今年の第3四半期から日本法人をアジア・太平洋地域から分離し、独立した組織にする考えで、その責任者には、ファウンドリーネットワークスの日本法人の社長である青葉雅和氏が就任する。

日本法人は独立した組織に

青葉氏はIBM出身で、ファウンドリーネットワークスの日本法人社長になる前は、シスコシステムズの役員を務めていた。

そして同社では、「データセンターネットワーク」「キャンパスネットワーク(企業の構内ネットワーク)」「サービス・プロパイダ」の3つのセグメントに注力していくという。

イワン・ホワイティング氏は、「データセンターネットワーク」では、基幹システムで利用できる信頼性や高い性能、キャンパスネットワークでは柔軟性や低コストほか高密度、サービス・プロパイダでは、拡張性や高性能がそれぞれ求められ、同社ではこれらの市場ニーズに対応できるよう、組織の再編を行ってきたという。

ファウンドリーネットワークス社長 青葉雅和氏

日本のマーケットについて青葉氏は、特にクオリティとパートナーにこだわっていきたいと述べた。そして「日本はクオリティに対する要求は厳しく、これをパートナーの要求とともにきちんと米本社に伝えることによって、日本発の新しい取り組みを実現したい」と語った。

青葉氏は日本における両社の組織統合については、5月を目処に行い、チャネルの統合再編については特に考えておらず、パートナーの特徴や強みを活かしながら考えていきたいと述べた。