会場には、同社コンシューマ向け製品も多数展示

ウエスタンデジタルジャパンは、自社ブランド製品2製品および、2TBの3.5型HDDドライブなど日本市場向け新製品発表会を開催した。同社は日本でこそOEMが主流であるが、そこでの実績、そして海外においてシェア50%という自社ブランド製品展開を背景に、日本国内での自社ブランド展開を進め、「中身も外もWestern Digital」を目指す。

今回発表されたのは、同社初というHDDを搭載しない製品「WD TV」、自社ブランドのネットワーク接続型HDD(NAS)「My Book World Edition」、そして現在市販される3.5型HDDドライブで最大容量となる「WD GreenPower 500」の3製品。

メディアプレーヤーボックス「WD TV」

「WD TV」は、HDD製品ではなく、映像、音楽、静止画等のコンテンツをHDテレビに出力できるメディアプレーヤーボックス。まずPCを用いてUSBストレージにコンテンツを蓄積、視聴時にはテレビと接続したWD TVにUSBストレージをつなぎ替えるという運用手法となる。

「WD TV」。PCに溜めたコンテンツをHDテレビで再生するためのボックス。手前の名刺と比べてもコンパクト

2つのUSB2.0端子と、HDMI、RCAのテレビ出力端子を備える。なお、映像のコンバート用としてArcsoftのMedia Converter 2.5もバンドルされている

ユーザーインタフェースはWindows Media Centerライクで操作も簡単という

100x125x40mmというコンパクトなボディにはUSB 2.0端子2基を備え、テレビとの接続にはHDMI端子またはRCA型の接続ケーブルを用いる。フルHDテレビと接続した際には1080pに対応するほか、MPEG1/2/4、WMV9、VC-1といった主要な映像フォーマットもサポートされる。ユーザーインタフェースはWindowsのMedia Centerに近い印象で、デモンストレーション中には直感的な使いやすさ、馴染みの良さをアピールしていた。

製品紹介を担当した米Western Digital APACセールスディレクターのクレッグ・デービス氏

WD TVは、PCでUSBポータブルHDDにコンテンツを蓄積、このポータブルHDDをWD TVをつなぎ替え、テレビで視聴できる

USB外付けHDDを通じ、メディアファイルをテレビで楽しむことで新たな需要を喚起する

同製品を紹介したデービス氏によると、HDDに静止画をため込んでいるユーザーは70%から80%、音楽をため込んでいるユーザーは50%から70%ほどの割合で、さらに動画、番組等をHDDにダウンロードするユーザーも増加傾向にあるとする。しかし、それらのほとんどはPCで視聴、再生されており、PCとTVとをつないでいるユーザーは3%にも満たないとのことだ。WD TVはこうしたユーザー層に向けたもので、PCにため込んだコンテンツを積極的にテレビで楽しむための製品としている。米国では昨年末にWD TVの販売が開始されており、「Best Buy」では発売と同時に売り切れたという。国内での販売予定は3月中旬頃とされており、店頭想定価格は13,800円前後としている。

ネットワーク接続HDD(NAS)「My Book World Edition」

「My Book World Edition」は、WindowsとMac OS Xに対応したネットワーク接続HDD(NAS)。ブック型のデザインとホワイトのカラーリングが特徴だ。主にバックアップニーズを満たすよう設計されており、操作が容易なインタフェースと、自動検出機能、1クリックで行えるバックアップ機能などを搭載している。また、インターネット(HTTPプロトコル)を通じ外出先から家庭内のMy Bookのデータを参照できる「MioNet」にも対応し、製品名の通りネットワークにつながってさえいればどこからでもアクセス可能とアピールしている。国内販売は3月下旬頃予定で、価格は未定。

「My Book World Edition」はスタイリッシュなブック型NAS。使いやすさの向上も図られている

1クリックでバックアップできるソフトウェアをバンドル

インターネットを通じ外出先から家庭内のMy Bookのデータを参照できる「MioNet」にも対応

3.5型HDD「WD Green Power 500」シリーズ

3.5型HDD「WD Green Power 500」シリーズは、500GB/プラッタを4枚搭載することで2TBを実現したベアドライブ。垂直磁気記録を用いて実現した500GB/プラッタの綿密度は400GB/sq.inchに達する。スピンアップ時の消費電力を抑える、アイドル時にヘッドをメディア面から退避させる、アクセスアルゴリズムを最適化するなどの省電力機能、低ノイズ機能を搭載。32MBという比較的大容量のキャッシュを搭載していることなどを特徴としている。

WD Green Power 500 2TBの主な仕様

静音化、省電力、パフォーマンス向上に向けた同社の各種テクノロジが採用されている

2台の1TB HDDを搭載するよりも1台のWD Green Power 500 2TBの方が省電力と紹介

特に消費電力に関して自信を持っているとのことで、現時点ではまだ他社より2TBの3.5型HDDは発表されていないが、1TBのHDDを2基用意した場合と比較し、さらに低消費電力であることをアピールしている。WD Green Power 500の2TBモデルだが、同社によればかなり早い段階で開発は完了していたものの、ディストリビューションへの出荷を優先したとのことで、現在では量産も順調な段階にあるとアピールしている。

なお会見では、ウエスタンデジタルジャパン 代表取締役社長 金森苧氏が、現在のHDD市場における同社のポジションを紹介。同氏によれば、1999年に起こした同社の市場不良を契機に以降、改良改善を怠らなかったことで、昨年末より続く不景気に際しても、減産こそあったものの、黒字を記録できたことが同社のモチベーションとなっているとのこと。そのかいあってエンタープライズ向け製品を除く市場では2008年第4四半期時点で世界シェアトップを記録したと紹介した。

ウエスタンデジタルジャパン 代表取締役社長の金森苧氏

この他、マーケットトータルではSeagateに次ぐ2位だが他社が横ばいであるのに対し同社は右肩上がりであること、2.5型HDDでは同社は比較的最近参入したが、出荷量でトップに立ったことなどを資料を交えアピールした。この不況に関しては「本当の競争力とな何なのかが試される日が来た」と表現し、「本物の製品」「良い品質」「良いサポート」「時代にマッチした製品」を出していこうと思っていますと述べた。

エンタープライズ向け製品を除いたトータルマーケットシェアの推移を示すグラフ

3.5型HDDトータルでのマーケットシェアを示したグラフ

2.5型HDDの出荷量を示したグラフ