ビットアイル 代表取締役 兼 CEO 寺田航平氏

ビットアイルは2月5日、同社の「第4データセンター」をグランドオープンさせ、一部を報道機関に公開した。6kVAを供給可能なラック2600個を設置。山手線内のデータセンターとしては最大規模になるという。

同データセンターは東京都文京区に開設。アクセスの良さが大きな売りの1つで、サーバ等の設置/保守作業を行うエンジニアが都内に多いことを鑑み、緊急時にもすぐに駆けつけられるロケーションが選ばれた。また、地下部が支持層に接しており、東京都の各種調査で地震発生時の被災リスクが少ない土地として挙げられているうえ、東京湾から5km以上離れているために津波/高潮の危険性がないなど、耐災害性にも配慮されている。

第4データセンターの外観

建物内部は、省エネ、高信頼性、安全性、耐高負荷の4つをテーマに設計/構築されている。

省エネでは、新たな空調方式「コールドアイルチャンバー」を採用。ラックと天井間に壁を設けるなどして「冷却通路(コールドアイル)」を作り、そこから冷気がラック内部へと自然に流れ込む設計になっている。部屋全体を冷やす必要がないため、CO2排出量が20%削減されるという。また、交流⇔直流変換が少ない高効率UPSを導入しており、こちらでも送電時損失を5%削減している。

サーバルームの模様。冷却通路には扉(右方)が設けられている。各サーバは冷却通路に正面が向くように設定されている

冷却通路の内部。左右にサーバが並ぶ。このフロアは冷気が床下から送り込まれる構造。通路内部は上下も出入り口も仕切られているため、冷気はサーバを通過して通路外部へ抜け出る

冷却通路の上部。しっかりと"蓋"がされている

高信頼性では、6万6000Vの特別高圧受電装置を2基用意し、本線/予備線の二重化が行われている。各装置によって提供される皮相電力は2万5000kVAに上り、これは「10万坪のオフィスがまかなえる量」(ビットアイル 代表取締役 兼 CEO 寺田航平氏)に相当するという。そのほかにも、ブロックリダンダント方式n+1の冗長構成のUPSを採用、24時間連続稼働可能なガスタービン非常用発電機を5基備える、といった対策も施されている。

地下フロアに配備された特別高圧受電装置。高さは6m超。この機材を搬入するための専用エレベータが設置されているが、現在その出入り口は水漏れ防止を目的として壁で塞がれている

特別高圧受電装置から送られた6万6000Vの電圧を小分けにする電源設備