e-Bayの市場独占と、新たなサービス"11番街"

2008年9月、Interparkが持つGmarketの株式を米e-Bayに売却することに関し、公取委が条件付きで承認した。e-BayとInterparkは2008年5月、Gmarketの持ち株売却に関してMOU(覚書)を締結し、この可否について公取委に審査要請を行っていた。

公取委による条件とは「販売手数料の引き上げ禁止」「登録手数料、サービス(広告)手数料、単価の引き上げを消費者物価の上昇率以内に制限」「中小規模の販売者のための保護対策を樹立」「公正取引法遵守方案を樹立し、その内容を販売者に告知」といったような内容を今後3年間守ることだ。

現在、e-BayはInterparkと協議中ではあるものの、公取委による審査は通過したという点は意義深い。公取委によると、GmarketとAuctionはそれぞれ、オープンマーケット市場の48.2%、39.0%を占めている。もしe-BayのGmarket買収が実現すれば、韓国のオープンマーケット市場のほ87.2%は同社の手中に入る。

折りしも2008年11月、韓国の流通大手であるGSグループのGSホームショッピングによる「eStore」が営業を終了すると発表したばかり。2社独占体制どころか外国企業による1社独占体制と、警鐘を鳴らす意見もある。いずれにせよInterparkとの協議が順調にいけば、e-Bayの独占状態になることは確実で、業界では2社の動向を見守っているところだ。

GmarketやAuctionの対抗策は?

e-BayのGmarket持ち分買収、GSホームショッピングの撤退など、韓国企業に元気がないことに不安が残る業界だが、新たに進出する企業もある。通信会社のSK Telecom(以下、SKT)の「11番街」がそれだ。2008年3月にオープンした11番街は、チャット機能やミニブログといったコミュニケーションサービスを利用しながら、ショッピングができるという特徴を持つ。これらコミュニティ機能はショッピングに関する情報交換用となっているため、クチコミのような効果を発揮する。

さらに11番街の強みは、ショッピングサービスのみで成長してきた他の韓国企業とは異なり、SKTが豊富なインフラを持ち、それを活用しようとしている点である。同社の固定回線と携帯電話(無線)とを連動して接続経路を増やし、携帯電話に搭載するUSIMカードを利用したコマースや、データ通信利用のさらなる活性化を目論む。また、グループ会社のSK Communicationsが運営するポータルサイト「NATE」やSNSサイト「Cyworld」などと連動することで、シナジー効果にも期待する。11番街にコミュニティ機能を付加したのも、サイト自体の活性化とともに、データ通信利用増加などを狙っているためである。

同社は以前から、化粧品ショップの「Cherrya」や、書店の「モーニング365」など、中堅オンラインショッピングモールを買収しており、現在、これらを11番街上でサービスするなど、店舗や商品の整備にも努めている。

こうした新たなサービスに対しGmarketやAuctionは、ショッピングサービスの充実で対抗する。Gmarketは先にも触れた海外進出に注力。「ショッピングポータル」を目指すAuctionでは、購入後記や上手に購入するコツなど、あらゆるショッピング情報を共有できる「ショッピング百科」や、個性的な店だけが集まった「オープンショッピング」など、新たなサービスを次々と導入している。

オープンマーケット市場が新しい局面を迎え地殻変動が起きようとしている中、生き残りをかけた戦略は各社それぞれだ。これらの戦略の特性や長所をもっとも活かすことができた企業が、韓国ショッピング市場で生き残っていけると言え、結果次第では数年後に大きな変化が予想される市場でもある。