「NOTE(NTT Open Telecom Experience)」

2008年からNTTによる次世代ネットワーク、NGN(Next Generation Network)サービスが開始されている。NGNとは、固定電話網が持つ信頼性・安定性と、IPネットワークの利便性・経済性を併せ持つ、情報通信ネットワークのことだ。NGNの特徴として、高クラスの通信品質、セキュリティの高さ、電話網で培ってきた信頼性、オープンなインタフェースなどが挙げられる。つまり、NGNによって柔軟かつ安全な通信環境をベースに、最先端の技術が加わり、今後様々なサービスの創造が期待されるというわけだ。

そんなNGNのサービスがわかりやすく、より具体的に体験できる空間、それがNTTグループのショールーム「NOTE(NTT Open Telecom Experience)」だ。ショールームのフロアは、内容ごとに大きく4つに分かれている。情報化社会においてNGNが求められる背景について紹介する「NGN Guidance」、遠隔会議のデモンストレーションを通じてNGNの特徴を説明する「NGN Features」、NGNにより実現する次世代のライフシーンを垣間見ることができる「NGN Life」、様々な企業が出展する「ブロードバンド・ユビキタスタウン」である。

3次元仮想空間「3Di OpenSim」の可能性

3Di OpenSimの展示

今回、そのブロードバンド・ユビキタスタウンに3Di OpenSimの展示が新たに加わった。3Diが開発したシステムを利用して、ネット上に存在する3次元の仮想空間、いわゆるメタバースを独自にかつ自在に構築することが可能なサーバーソフトウェアである。アバターと呼ばれる分身を活用し、3Dならではのリアリティあるコミュニケーションや商品紹介などができる。また、NGNと組み合わせることによって、より安心・安全・快適なメタバースを構築することが可能となる。

わかりやすい例えとして、不動産販売による活用を挙げてみよう。24時間365日、自宅にいながらにして気軽に見学できるモデルルーム。間取り図だけではイメージできない部屋の内装や色使い、質感までも足を運んでくれたユーザーに感じてもらうことだって可能だ。

アバターを通じた3D仮想空間では、より具体的な表現が可能となる

そのほか、教育の現場での活用も期待されている。3Di OpenSimによる仮想教室では、アバターを通じた対面型の授業など、新しいタイプのeラーニングサービスを提供することができる。教師と生徒、生徒同士が3D空間でのアバターを介してのコミュニケーションや音声(*1)でのコミュニケーションを取りながら、ゲーム感覚で楽しく学ぶことができるのだ。その一方、メタバース内での行動はサーバー内に蓄積されるので、今後の授業内容の検討や新たな教材を企画する、といった新たなビジネスを開拓することも夢ではない。

こういったログデータ取得の機能は、ビジネスであればマーケティングはもちろん、イノベーションの促進にも大いに活用できるだろう。

*1:音声チャット機能は、NOTEでのデモンストレーション用に実装されており、製品版では次期以降のバージョンで搭載予定

NOTEから見えてくる未来

取材を通じて感じたのが、3Di OpenSimが成熟していくとインターネットの在り方、概念が変化するのではないか、という思いだ。NGNと3Di OpenSimを組み合わせることで、安定したネットワーク環境の上において、遠隔地であっても密度の濃いコミュニケーションが可能となったり、インターネットを使いこなせなかった高齢者がアバターを通じて直観的なコミュニケーションができるようになるなど、インターネットへのアクセスがより簡便化され、情報のバリアフリー化がいっそう進むのではないかと考えられる。

夢を膨らませてくれ、ワクワクさせてくれる3DiとNOTEのコラボレーション。機会があれば、一度足を運んでみては如何だろうか。NOTEは企業だけではなく一般ユーザーでも入館することが可能だ。ただし、完全予約制なのでご注意願いたい。