このプロジェクトで新たな表現にクリエイターが挑んだ

現在、渋谷のハチ公前には、発電床と発電された電力量を表示するパネルが設置されている。このクリーンエネルギー実証実験に関わった様々なクリエイターたちは、どのような姿勢でこのプロジェクトに臨んだのだろうか? 実験の趣旨をわかりやすく伝えるメルヘンチックなイメージイラストを担当したjunaida氏は「小人が木の家に帰り着くまでに、徒歩で家を発電させるというイメージでイラストを描かせていただきました。僕の絵と渋谷ハチ公前は真逆の印象があるので、挑戦として楽しかったです」と語った。Flashにより発電量を液晶パネルに表示させるという映像制作を担当した映像クリエイターの山崎大祐氏は「僕はテレビやWebといった限定的なコンテンツ制作に関わることが多いので、人が断続的にオープンスペースで見るような映像を作るという作業は新鮮でした。また、今回の振動発電のように自分が知らない技術を知り、それを伝えるために表現するというのも新鮮な体験でした」と今回の制作を振り返った。また、このプロジェクトに企画当初から3D映像の制作で参加していたデザイナーの斉藤岳郎氏は「今回のインスタレーション的なプロジェクトは本当に楽しかった。企画のプレゼンなどでも、文字より3D映像ほうが相手に伝わる部分も多いので、力を入れました」と語った。また、発電電力を計測しFlashでモニターに表示するという部分のデザインを担当した中谷勇希氏は「この技術に大きな興味がありました。また、今回のように、リアルに体験というか実感できる仕事に飢えていました。Webにはないリアルな体感できる仕事に関われたのが嬉しい」と笑顔でコメントした。

様々なクリエイター尽力で、この何気なくもインタラクティブな空間が創られた

「クリーンエネルギー実証実験をイベントとしてわかり易く伝える」という目的のために、様々なクリエイターが自身の技術や経験を発揮してこのプロジェクトは成就した。小泉氏はこれからの時代のクリエイターの役割に関して「新しい技術をクリエイターが掘り起こすというか、違う表現で世間に出していくというのは、大切な事だと思います」と語った。また、人の目に留まる新しい広告の有り方に関しても小泉氏は「今回のイベントの場合、肝心の発電電力表示がLEDだとわかりずらいのです。Flashを使った映像だと、ひと目で見て理解できます。今回のイベントにはアドビシステムズの役割が重要でした。渋谷のスクランブル交差点は日本中の目が集まる場所。目が集まる場所イコール広告が集まる場所です。でも、ほとんどの広告はスルーされてしまいます。クリーンエネルギー実証実験では、みんなが作った電力をその場で見ることが出来る。このように、受動的でなく能動的なものに広告や映像が変容していく。映像がもっと能動的なメディアになるというのを街に提示していきたい。それにはアドビ システムズの技術が必要でした」言及した。

今回のプロジェクトに関わった面々。前列左から、中谷氏、小泉氏、山崎氏。後列左から、斉藤氏、西村氏。テーブルにあるのは、クリーンエネルギー実証実験の展示方法企画検討用のペーパーモデル。※イラスト担当のjunaida氏は写真撮影のみ不参加

渋谷ハチ公前の発電床で、街を歩く人々によって発電された電力は、エコイルミネーションのLED照明を点灯させるという。これはエコロジーのユニークな見せ方の一例に過ぎないかもしれないが、このプロジェクトには実は様々なクリエイターたちのアイデアや、広告映像の新しい形に対する想いが込められている。

クリーンエネルギー実証実験は12月25日まで渋谷駅ハチ公前広場で行われている

撮影:中田浩二