11月28日、29日の2日間、シンセサイザーのイベント「シンセサイザーフェスタ2008」(以下シンセフェスタ)が開催された。シンセフェスタは松武秀樹氏が会長を務める日本シンセサイザー・プログラマー協会(JSPA)が主催するイベントで、偶数年に東京、奇数年に大阪で開催されており、今年が第7回目となる。

今年はヤマハ、ローランド、コルグなどの楽器メーカーや、インターネット、エムアイセブンジャパン、クリプトンフューチャーメディアなどのソフトハウスなど、計15社が出展してブースを構えた。また、メインステージではライブやコンテストなどが行われた。各ブースでどんな展示が行われたのかを中心に紹介していこう。

ヤマハ・スタインバーグ

 ヤマハとスタインバーグは共同のブースを設置。ヤマハ側では「MOTIF XS」、「MM8」などのシンセサイザを展示。スタインバーグ側では「Cubase4.5」を中心にオーディオインタフェースの「MR816CSX」、フィジカルコントローラの「CC121」を組み合わせたシステムを展示した。また参考出品として近いうちにユーザー向けに無償公開するプラグイン型の「MOTIF-RACK XSエディター」を披露した。

まもなくヤマハから公開されるMOTIF-RACK XSのエディタ

ローランド

ローランドブースでの目玉は来年1月に発売が予定されているSONARのハードウェア&ソフトウェアのシステム「SONAR V-STUDIO 700」。また各種シンセサイザ類が展示されていたほか、近日公開となる「SonicCellエディター」なども発表されていた。SonicCellエディターはプラグインとして使用可能。

コルグ

コルグでは、いま大ヒットとなっている「DS-10」、また小型のUSB-MIDI機器として話題を集めている「nanoシリーズ」などが展示されたほか、先日開催された「2008楽器フェスティバル」に続いて「MicroKORG XL」が参考出品された。ボコーダーなどとして利用できるMicroKORG XLはまもなく正式発表される模様で、現行モデルであるMicroKORGより機能が大幅に強化されていることから、価格的には1万円程度高い5万円前後になる模様だ。 

5万円程度で発売されるというコルグの「MicroKORG XL」

Digidesign・M-Audio

DigidesignとM-Audioの共同ブースでは、まもなく登場する「ProTools 8」にバンドルされる5つのソフトシンセを中心に展示。アナログシンセをモデリングした「Vacuum」、ハモンドオルガンをエミュレーションした「DB-33」、TR-808/909風な「Boom」、グランドピアノを再現させた「MiniGrand」、サンプリングシンセの「Xpand!2」といずれも強力な音源がデモされた。

ProTools 8にバンドルされるアナログモデリングシンセ「Vacuum」

同じく「ProTools8」にバンドルされるハモンドオルガンエミュレーション「DB-33」

メディア・インテグレーション

メディア・インテグレーションはアイルランドのFuture Audio Workshopの新音源「Circle」を発表。独特なユーザーインタフェース、ワークフローとなっている音源で、AU、RTAS、VSTのプラグインに対応しているというもの。開発者であるGavin Burke氏も来日してデモを行っていた。

独特なユーザーインタフェースを持つFuture Audio Workshopのシンセ「Circle」

学研

学研はこれまで大人の科学として、アナログシンセサイザの「SX-150」、またテルミンなどさまざまな音モノのガジェットをリリースしてきたが、今度はよりしっかりした筐体となる「テルミンPremium」を発表。12月18日に9,975円で発売される。

学研が発表した「テルミンPremium」。12月18日に発売予定

クリプトン・フューチャーメディア

「初音ミク」、「鏡音リン・レン」に続く第3弾の「CV03」のリリースが間近となり、すでにサンプル音声をネット上で公開しているクリプトン・フューチャーメディア。今回のブースで何か新たな情報が発表されるのではと期待されたが、残念ながらCV03に関する展示などはなかった。今回主に展示されていたのは「SUPERIOR DRUMMER 2.0」などの新しいソフトウェア音源となっていた。

シンセサイザ工房「REON」

一方、大阪のシンセサイザ工房「REON」もブースを出展。REONは小ロットながらも特徴あるオーダーメイドシンセサイザを設計開発から製作まで一貫して手がけている。今回はそのREONオリジナルの小型シンセサイザ「LEGEND」を展示。手作りであるため50セット限定で12月1日に3万円程度で発売するという。

限定50台の発売という手作りシンセサイザ「LEGEND」

そのほか、「世界にひとつだけのシンセ」をコンセプトに自作シンセサイザの愛好家が集まるアナログシンセ・ビルダーズ・クラブも展示を行った。モジュラーシステムやTR-909のクローンといえるドラムマシンなど、自慢の作品がいろいろと披露された。

世界に1台しかないシンセとして展示されたモジュラーシステム

Moogの回路をベースに製作したというシンセサイザ