百度もウェブゲーム事業に参入
ウェブゲームのポテンシャルにいち早く目を付けた大手IT企業は、総合ポータルサイト「中華網」を運営する中華網科技だった。2007年4月、同社は「網頁遊戯専区(ウェブゲーム・プラットフォーム)」の運営に乗り出した。このプラットフォームはいまや「熱血三国」「帝国堀起」など人気の高いゲームをを初め、70タイトルを超えるウェブゲームを利用できるようにしており、中国国内で最大のウェブゲーム・プラットフォームとなっている。
2008年4月、大手検索サイト「百度」を運営する百度がウェブゲームに参入した。百度は「百度遊戯娯楽平台」というゲーム・プラットフォームを開設し、上海盛大網絡発展、ゲームサイト「51wan.com」を運営する北京新(※)兄弟网絡科技、成都夢工場などゲームキャリア5社がコンテンツを提供する。このゲーム・プラットフォームに載せられているゲームのほとんどがウェブゲームだ。「方便面三国」「帝国堀起」などが、このプラットフォームの目玉ゲームとなっている。
※「俣」のにんべんが女へん
ウェブゲームはeコマース、インスタントメッセンジャーに次ぎ、百度が進出した三番目の新分野だ。ウェブゲームは、百度が進めている経営多角化において重要な役割を期待されている。
大手ポータルサイト、ソフト企業なども続々参入
ウェブゲームに積極的に乗り出したのは百度ばかりではない。今年7月、ソフトウェア企業の金山軟件が51wan.comと共同して「剣侠情縁web版」をリリースすると発表した。「剣侠情縁」は金山軟件が開発し、大ヒットとなったオンラインゲーム。同社は51wan,com側にライセンスを与え、51wan.comで剣侠情縁web版の開発と運営を行うことになっている。
剣侠情縁web版が成功すれば、同じタイトルのゲームが、オンラインゲーム版とウェブ版というニつのバージョンを持ち、より多くのプレイヤーを取り込むことになるため、業界から注目されている。
大手総合ポータルサイトの新浪網、TOM在線(TOMオンライン)、ゲームポータルサイトの17173なども今年に入ってから、次々とウェブゲームへの進出を果たした。ソフトウェア企業、検索エンジンサイト、総合ポータルサイト、ゲームキャリアなどによる活発な進出により、ウェブゲームは、現在中国のIT業界において最も活気にあふれる分野となっている。
一方、ベンチャーキャピタル(VC)によるウェブゲーム開発企業などへの投資も、活発化している。今年4月、紅杉資本中国基金(Sequoia Capital China)が、「51wan.com」を運営する北京新(※)兄弟网絡科技に投資した。51wan.comは2007年8月に設立されたウェブゲーム専門サイト。
※は豆の右に宛
51wan.comは、今年4月現在100タイトル以上のウェブゲームを提供し、170万人のプレイヤーを抱えている。紅杉資本中国基金董事(取締役)の計越氏は、「両社は投資金額を公表しないと約束している。当社は51wan.comの運営者を半年にわたり観察し、素晴らしいチームだと判断した。新事業なので、どこまで行けるかはわからないが、このチームは最も信用できる要素だ」と、51wan.comを高く評価しつつ、同サイトのウェブゲーム事業への期待を表明した。
さらに7月には、VCの千橡互働(Oak Pacific Interactive)が、1,000万元(約1億6,000万円)で、中国で最大のウェブゲーム開発企業である北京(※)豆互働科技公司を買収した。千橡互働総裁の陳一舟氏によると、同社は十分の資金を用意しており、今後(※)豆互働科技のような、高い独自開発能力をもつ企業を5~10社買収する計画だという。