櫻井氏は日本が誇る3つの重要な財産を使い、例えば新しい日本式の株式市場を考えることも大切だという。アメリカ流の考え方では「企業は株主のもの」だが、日本では株主と同じく「企業の構成員もかけがえのない存在」としてビジネスを続けてきた。しかし現実には、株主に利益を渡すため無駄を切り捨て、経営の効率化を図る企業が増えている。純粋に利益を増やすような正しい経営では時間がかかるため、最近は全体の活動資金を削ることで利益率を上げている傾向があるのだ。

櫻井氏は「資本主義自体は否定できませんが、現在のようなマネー中心の資本主義は必ずしも万人を幸せにするものではなく、多くの人がどこかで修正が必要だと実感しています。社会全体を幸せにしていく企業運営は私たち日本人が従来やってきたことであり、修正のための知恵を出し合ってみるべきです」と語る。

櫻井氏は「日本人の優れた資質を前向きかつ自信を持って使う時期にきており、本当の意味で日本人になる、日本が国家になるべきなのです」という。

櫻井氏が語る"日本人"とは、国籍や生まれた土地、言語などに依存するものではない。人間と動物の違いは自分が何者かを理解しているかであり"歴史を知らなければ人間ではない"、さらに踏み込むと"日本の歴史を知らない人は日本人ではない"ことになる。この歴史とは単純に年表を記憶しているかではなく、日本人がこの地に生まれて何のために仕事をし、何のために死んでいったのかなど、価値観そのものを知ることだ。「戦後の日本では経済の在り方やお金の使い方など、過去の歴史をおざなりにしています。こうした歴史を知れば、現代の素晴らしい行動基盤になるのです」と語る。