今回試用した「FMV DESKPOWER F/B50」。16型ワイドのシリーズエントリーモデル。同シリーズには、地デジチューナー&19型ワイド液晶搭載機「FMV DESKPOWER F/B70T」もある

8月に発売された富士通の「FMV DESKPOWER F」シリーズが人気だ。数ある2008年秋冬モデルのなかでも、なぜこの機種が売れているのか?今回はその秘密を、実機を試用して検証する。

富士通のパソコンが大人気だって!?

唐突な話で恐縮だが、筆者は富士通のパソコンが大好きである。初めて我が家にやってきたパソコンは富士通の8ビットマシン「FM77AV」で、当時中学生だった筆者は夢中でイジりまくった。周りの友達がNECのPC-88シリーズでゲーム三昧だったのに対し、ひとりで黙々とプログラミングやDTMに励んだものである。パソコンのファーストインパクトをFMシリーズで迎えたためか、周りの人が「PC-98が欲しいナ~」とか言ってのに対し、筆者はひとりで「FM16β」に憧れていた。いまにして思えばカナリ変な少年であり、購入を踏みとどまったのも大正解としか言いようがない。その代わりにしばらくしてから購入したのは、富士通の32ビット機「FM-TOWNS」である。ゲームもひと通り楽しんだが、筆者はこのマシンでCGを学んだ。レイトレーシングでひと晩かけて球体をレンダリングしたり、ラップスキャンで絵を描いたりなど、やはり普通とは違う青春時代を送ったものである。その後も、社会に出て給料をもらうようになったら、FMVのWindows 95マシンを購入している。それくらい、富士通ラブなワケである。

とは言え、往年の富士通ユーザーは「FMシリーズはマイナー機」という自虐的な認識を持っている。FMVシリーズは大ヒットしたものの、それ以前の10年はメジャーな存在ではなかった。世間一般では「FM? ああ、タモリのヤツね」程度にしか語られなかったのに対して、富士通ユーザーは「あなたとは違うんです、フフン」とばかりに平然を装っていた。が、本当はNECユーザーがうらやましかったのである……って、アレ? これってもしかしてオレだけデスカ?

そんな精神的な土壌があるため、編集部から「FMV DESKPOWERのFシリーズが売れているんですよ」と聞いたとき、「そんなことねぇだろ、だって富士通だよ、富・士・通!」とか思ってしまったわけである(メーカーさんゴメンナサイ!!)。でも、さまざまなサイトでデスクトップPCの売り上げランキングを見てビックリ!そこかしこで、Fシリーズがトップじゃないですか!というわけで、往年の富士通ユーザーが昔のうっぷんを晴らすべく、大人気機種のレビューに乗り出したわけである。ああ、夢にまで見た「大人気機種」と言う晴れ舞台。って卑屈だし、前置きが長いよっ!!