日本Androidの会」は12日、東京・秋葉原のアキバホールにて、発足式を開催した。

日本Androidの会は、Androidの開発者コミュニティ「Android勉強会」(主催者:早稲田大学大学院客員教授 丸山不二夫氏)を発展させて発足したもので、会長に丸山氏が就任する。ワーキンググループによる活動を通じて、日本におけるAndroidの普及と発展をはかる。一般的なオープンソースコミュニティと異なり、関連ビジネスの活性化も目的としている。

発足式には、200名以上が参加し、会場は満席。Androidに対する日本の技術者の関心の高さをうかがわせた。スタッフによると、多くのメーカー技術者が個人名で参加しているとのことであった。

会場入り口では、メンバー有志によるAndroidを移植したハードウェアが展示されていた。

携帯電話用の開発ボード(OMAP-3430)への移植

ベーグルボードへの移植(OMAP-3530)。DigiKeyから個人で購入可能なボードへの移植。やや遅い

freescale iMX.31への移植。動画と音楽を再生するデモ

開会の挨拶の後、配布資料に基づき、設立趣旨の確認、会則の確認、監事19名の承認が行われ、満場一致で会が発足した。

各種承認が行われ、満場一致で会が発足

Adrian Havill氏(米Google)招待講演

米GoogleのAdrian Havill氏招待講演は、GoogleのPR部門の許可が間に合わず、報道は不可という約束が行われているため、残念ながらその詳細に触れられない。クラウド、オープンソース、Androidについての一般的な内容で、特筆すべき情報は含まれなかった。Googleのスタッフによると、Androidの開発者を励ますような内容を用意していたが、会場内にPCを開いてネット接続しているユーザーが多く、開発者のみの集まりでもなかったため、World Wideでの影響を考慮して直前に内容が差し替えらたそうだ。一方質疑では、会場の技術者からの突っ込んだ質問が行われた。

丸山不二夫氏基調講演「Androidの可能性」

日本Androidの会会長 丸山不二夫氏

続いて行われた丸山氏の基調講演「Androidの可能性」では、「日本のIT産業には優秀な人材が埋もれていて、力はあるがうまく活用されていない。また、モノづくりやコンテンツ分野にも競争力がある。Androidは、それらの力が1つに交わる舞台になり、グローバルな世界に飛び出すチャンスになるだろう。そうでないと日本の産業は息を吹き返さないのではないか。グローバルな市場に日本のノウハウが展開される。そのためには、いろいろな方の協力が必要。そういった場として会が活動できれば」と語った。

また、iPhoneとの違いについては「iPhoneは、Appleの垂直統合モデルで成り立っている。これはAppleがキャリアに取って変わるだけで発展は難しい。携帯電話とクラウドコンピューティングの融合についても、オープンに行われるAndroidの方に発展性がある。見えないところに大きな違いがある」と述べた。

日本Androidの会活動内容

日本Androidの会の活動は、ワーキンググループ(以下WG)を中心に行われ、月一度程度の全体会を開催する予定。設立時点では以下の8つのWGが設置され、各WGのリーダーによって活動の紹介が行われた。

ワーキンググループ(WG)の名称 説明
勉強会 勉強会でアプリケーションを作る第1歩を学ぶ。教育コンテンツの作成と公開
Android-SDK SDKを対象として、その中身を勉強
マッシュアップ Androidを現行のサービスやビジネスと接続する方法を研究
コンテンツ Android上で、どのようなコンテンツを提供すると魅力的かを研究
組み込み kernelやミドルウェア、ハードウェアの部分をターゲットに開発と情報を公開
PF プラットフォームとプロファイル。Android環境での各種ガイドラインのとりまとめ
DalvikVM VM部分の研究開発。ARM以外のCPUへの移植や仕様書の日本語化を実施
Market Place
(マーケットプレス)
コンテンツの流通をMulti-Modal Meta Market(M4)ビジネスとして実施
ビジネス Androidを使ったビジネスを行いたい人のための交流の場。具体的なビジネスモデルを検討

また、直近の対外的な活動としては、「オープンモバイル・コネクションズ2008」(26日)、「オープンソースカンファレンス 2008 Tokyo Fall」(10月3日・4日)への出展を予定している。

日本Androidの会の活動に参加するには、会のWebサイトから、各メーリングリストに登録する。17日現在で、すでに登録者数は300名を越えているそうだ。

Androidについての、これだけのまとまった活動がオープンに行われるのは、世界的にも初めてのことではないだろうか。本格的な活動はAndroid搭載携帯電話の公開と同時に行われ、ソースコードのオープンソース化の後になるそうだが、今後の日本Androidの会の活躍に期待したい。