G DATAはスパムメールの調査を行い、その結果を報告した。それによると、最近のスパムメールでハリウッド女優アンジェリーナ・ジョリーを話題にしたものが最も多く、全体の20%を占めていたとのことである。

ハリウッドスターたちは、テレビや雑誌のみならずスパム業界でも大人気である。スターのニュースや動画、画像を提供するというメールのリンクをうっかりクリックしてしまうと、悪性コードが仕掛けられたサイトに導かれ、バックドアやスパイウェアに感染してしまう。

G DATAによれば、スパマーは芸能界の話題を組み込んだスパムメールを使うことで犯罪の成功率を高めようとしているとのことだ。ここで選ばれる芸能人の基準であるが、その人物のメディアでの露出度である。芸能誌や情報誌などで脚光を浴びる頻度が高ければ高いほど、その人物がスパムネタとして使われる傾向が高くなっている。仮説として、米国『FHM』誌が選ぶ「2008年度版世界一セクシーな女性」のリストではないかとの説もあったが、これは正しくないようである。このような手口を使ったオンライン犯罪は、減少するどころか増加傾向にある。

今回の調査は、スパム収集専用のアカウントを作成し、2008年7月28日~9月14日の7週間に受信したスパムメールを収集分析したものだ。メールの件名と本文に出現する人物名を抽出し、頻出する約300名の出現数を積算し、出現率を導き出したものである(表1、表2)。今回の調査結果では、アンジェリーナ・ジョリーがトップとなったが、大物女優を使ったスパムメールが非常に高いことがわかる。男性をみると、中東での紛争や大統領選挙をテーマにしたものが多い。

表2 スパムメールに使用された有名人ベスト5(男性)

順位 氏名 比率
1 アンジェリーナ・ジョリー 18%
2 ブリトニー・スピアーズ 9.8%
3 パリス・ヒルトン 8.8%
4 マドンナ 2%
5 パメラ・アンダーソン 1.9%

表1 スパムメールに使用された有名人ベスト5(女性)

順位 氏名 比率
1 オサマ・ビンラディン 3.4%
2 ブラッド・ピット 1.8%
3 ジョン・マケイン 1.4%
4 ジョージ・W・ブッシュ 1.2%
5 バラック・オバマ 1.1%

また、スパムメールを送信する犯罪者の手口は、以前からほとんど変わっていない。有名人や話題の人物のお宝ビデオや画像、ゴシップ記事を提供するかのように見せかけて、大量のスパムメールをばらまくのである。ユーザーが罠と気付かずにリンクをクリックしてしまうと、ただちにマルウェアをダウンロードさせようとするものや、ビデオ再生のために特殊なコーデックが必要と偽ってマルウェアをインストールさせるものなどがある。

そして、このような手口でマルウェアに感染してしまったPCは、ボットネットに組み込まれたり、個人情報を盗まれたりする危険性がある。スパムメールの件名には、くれぐれも注意をしてほしい。