調査会社の英Canalysは15日(現地時間)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)地区における2008年第2四半期(4月 - 6月期)のスマートフォン市場動向を発表した。出荷台数の38%がGPS内蔵となるなど、GPS機能が人気であることがわかった。高機能化するスマートフォンに対し、バッテリ持続時間を課題としている。

2008年第2四半期、EMEAでは合計1,260万台のスマートフォンが出荷された。前年同期比28%増で伸びたが、この増加率はこの1年半で最低レベルだったという。2008年第1四半期は44%増だったが、1,260万という台数は、過去で2番目に高い出荷台数となった。

出荷されたスマートフォンのうち、38%がGPS内蔵、58%がWi-Fi内蔵、13%がタッチ画面採用だった。

中でも、GPSはこの1年で、携帯電話の機能として普及が進んだといえる。Canalysによると、GPS搭載機種が増加するにあたり、GPSを利用する位置情報ベースのアプリケーション(LBS)にもスポットが当たりつつあるという。同社が行った消費者調査によると、交通渋滞情報、スピード監視カメラ、ガソリンスタンドとガソリン料金など、道路情報関連に高い関心があることがわかった。関心が低かったのは、付近の映画情報や小売店価格比較など。調査ではまた、PND(簡易ナビゲーション端末)所有者のうち、LBSを利用したい端末としてPNDを携帯電話よりも優先させる人が少なかったことにも言及し、GPS搭載携帯電話がPND市場を脅かす可能性を示唆している。

Canalysがスマートフォンの課題としているのは、バッテリ持続時間と機能のバランスだ。自分の電話の機能を使いこなしていないユーザーが多いが、その理由として、通信コストとバッテリ持続時間が挙がったという。同社が6月、3000人の消費者に対し行った調査によると、回答者の2/3が、「バッテリ持続時間が良いのであればミニノートPC(MID)を購入するかもしれない」と回答したという。ミニノートは、スマートフォンとノートPCの間に位置づけられるもので、場合によっては競合の関係も考えられる。

同期のベンダ別シェアは、1位がフィンランドNokiaで71.2%を占めた。2位以下は、カナダResearch In Motion(7.2%)、台湾HTC(7%)、米Motorola(3.4%)、韓国Samsung(3.2%)の順。Nokiaが圧倒的シェアを占めるが、残り4社はNokiaの増加率を上回るペースで伸びており、Nokiaのシェア値は前年同期の79.7%から落としている。HTC、Motorola、Samsungは出荷台数を倍増させた。

Canalysでは、7月に主要市場で発売となった「iPhone 3G」により、第3四半期(7月 - 9月)は米AppleがRIMとHTCをしのいで2位につける可能性が高いと予想している。

EMEAにおけるスマートフォンは、全携帯電話の出荷台数のうち13%を占めるという。