外部ケーブル配線

SASが最初に登場した時に最も便利であった外部ケーブル配線のソリューションは「インフィニバンド式」コネクタであった。ところが、市場はより高密度のケーブル配線ソリューションを求めたため、短期間に、SFFのミニSASコネクタが採用されることになった。

ケーブル配線オプションを最小限にするため、そして、特にストレージ・エンクロージャのカスケード化を行う場合の全体的なインテグレーション過程の改善のため、6Gb/sでは、外部ケーブル配線のオプションとしてインフィニバンド式接続方式を採用せず、ミニSASコネクタに注力する。

データ・インテグリティ・フィールド(DIF)

パラレルSCSIに使用されたデータ保護方式は、コマンドフィールドの整合性を保護できなかったことから、不完全なものであることが、かなり以前から認められていた。従って、SASでは、ストレージシステムからディスクドライブに至る全域でデータとコマンドをアプリケーション・レイヤから保護するデータ保護モデルを採用した。データ・インテグリティ・フィールド(DIF)はSAS1.1の技術仕様から実際に採用されたものであり、6Gb/s SASで普及する可能性が非常に高くなっている。

実際にはこの方式は4Gファイバ・チャネルのソリューションですでに実現されており、6Gb/s SASの事実上の要件となる可能性が高い。急速にエンタープライズの要求になりつつある本件が、業界から広く受け入れられるものと考えられる。

性能と拡張

6Gb/s SASの検討は、もっとも重要な性能の要素の検討なくしては十分とは言えない。数Gビットのスピードでの信号送信は、簡単なことではなく、信号送信速度を3Gb/sから6Gb/sに倍加しながら、しかも、3Gb/s SASの提供した距離と互換性を保全するという課題は非常に困難なものであった。

デシジョン・フィードバック・イコライゼーション(DFE)と、これに伴うトレーニングのシーケンスは、SASがその性能を倍加し、かつ、第1世代SASとの互換性を維持するための革新的手段である。また、PCI Express 2.0対応のサーバが提供するスループットにSASがペースを合わせるための革新的手段でもある。

この帯域幅の向上により、ボードやコントローラやポートを追加することなく、これらの高性能リンクにドライブを追加することが可能となった。ある状況下ではこのことがPCIスロットをほかのシステム拡張のために開放する効果をもたらしたり、ケーブル数やその混雑度を減らしているが、これらすべては重要なシステム的なメリットになっている。

最近新しいタイプの製品として登場してきたものとして半導体ドライブがあるが、これはシステム性能を向上させるためにコンフィギュアすることができ、スループットを2倍にするメリットを最大活用することができる。

6Gb/s SASはPCIe 2.0と歩調を合わせる

またこうした高帯域幅のリンクを本当に必要とするシステムでは、6Gb/sのSASは消費電力/MB数/SASリンク数の数値において極めて明確な向上を示している。これらすべてはこのストレージ・ソリューションの「グリーン環境性」に貢献するものである。