ピントの位置で変わる印象の違い

花マクロ撮影は、ピントを合わせる位置によって被写体の印象は大きく変わってくる。ピント位置はとても重要なのだ。一般的に、人は花の蕊(しべ)に目を合わせるといわれており、撮影でも蕊にピントを合わせるのが基本になる。またサルビアのような小さな花が集中した被写体では手前の花にピントを、アジサイのような球体の形をした被写体には中心部の手前の花にピントを合わせるというセオリーがある。しかし、これはあくまでセオリーであり、被写体を見て美しいと感じた部分にピントを合わせることが大切なのだ。例えば朝露の水滴や、陽に透けた葉の葉脈など、自分が表現したいと感じたものを素直に撮ってみよう。

【ピントのセオリー】

花マクロ撮影では、蕊にピントを合わせることが基本

花びらにピントを合わせると、印象が変わってくる

小さな花が集中した被写体は、手前の花にピントを合わせる

茎にピントを合わせてしまうと、花がピンボケしてしまう

ベストなフレーミングを探そう

マクロレンズを使い始めたころは、普段見慣れたものでも大きく写ることと美しいボケの効果で、新鮮な感動を覚えるかもしれない。そのためついつい"被写体をアップで写し、被写界深度を浅くする"というワンパターンな撮影になりがち。しかし、花マクロの醍醐味は、「花に近づくか? 離れるか?」、「構図は縦位置か? 横位置か?」、「アングルは上からか? 下からか?」、「光の状態は順光か? 逆光か?」などなど、被写体の美しさを追求することにある。花マクロの撮影は、被写体単体だけを注目するのではなく、画面に占める色やボケのバランスなど様々な要素を考えて、ベストなフレーミングを探したい。

【縦構図と横構図】

構図の縦横でも印象は大きく変わってくる。被写体は画面の中心に置く日の丸構図より、余白を生かした配置のほうが見る人の視線が動く

【背景の明るさによる印象の違い】

被写体の背景を日向にするか、日陰にするかで、背景の明るさが変わり、被写体の印象も大きく変化する