ついに活字を並べる「文撰作業」に入る。体験用の活字棚には、活字が音読みで五十音順に分類されている。わずか数文字分とはいえ、約3,000字の中からピンポイントで探し出すのは結構大変。目当ての活字が見つかったら、親指、人差し指、中指を使ってそっと摘むように棚から抜き出す。活字は柔らかい鉛でできているため、乱雑に扱うと傷ついて使い物にならなくなってしまうというので、細心の注意を払って作業を進める。取り出した活字は手元の文撰箱に並べ、これを繰り返して必要な活字を集めたら、引き続き「植字」作業を行う。

植字とは、活字を並べて印刷の元になる版を作ること。インストラクターの方が用意してくれた木枠に、先ほど拾った活字を入れる場所があるので、そこへ活字を並べていく。ちなみにこの木枠のことを「ゲラ」と呼ぶらしい。これが転じて、校正紙のこともゲラと言うようになったとか。この植字作業で、申し込み書にレイアウトした2分アキなどのスペースも反映させる。全角アキ、4分アキなどに応じたスペース用の詰め物(クワタ)が用意されているので、7字分きっちりと隙間のないように植字する。

活字は指3本を使って丁寧に拾う。12ポイントとはいえ結構小さい

拾った活字は文撰箱へ。上に挟まっているのは申し込み時に作成した文字レイアウト

版を作る植字。文字通り活字を植えているみたい。同時にアキも反映する

スペース用の詰め物「クワタ」。4分アキになると1mmぐらいの薄い板

活字にぐらつきが出ないようにクワタを詰めたら版の完成