IBMとグローバルアライアンスを結成
今年4月初め、香港証券取引所に上場する金蝶国際軟件集団(Kingdee International Software Group、以下、「金蝶集団」)が北京で発表会を行い、向こう3年間の経営戦略を発表した。同グループは、エンタープライズマネジメントソフト、ビジネスアプリケーション、ビジネスソリューションのプロバイダーで、アジア太平洋地域において一定の市場優位性をもつ大手企業である。
同グループの董事会主席(会長)で、チーフソフトウェアアーキテクトを兼任する徐少春氏は、同発表会で以下のように語った。
「金蝶集団は今後3年以内に現状の製品志向型企業から、サービス志向型企業(服務型企業)への転換を図る。経営戦略を根底から変革し、マネジメントとIT関連コンサルティング、オンラインマネジメントとe-コマースサービスなどを発展させ、卓越したソフトウェアサービスバリューを創造していく」。
IBMやIDCなど金蝶集団のパートナー企業幹部もこの発表会に出席。同グループの戦略転換を高く評価しながら、全力でサポートしていく姿勢を表明した。
SaaSプラットフォーム「友商網」を企業に提供
金蝶集団の戦略転換は、発表こそ上記の通りつい最近のことだが、実際には昨年後半からすでに始まっている。2007年6月上旬、金蝶集団はIBMに一部発行済み株式を譲渡し、グローバルアライアンスを結成。8月中旬には、今後共同で電子商取引事業を展開していくこと、その第一弾として、「友商網(友人との商業的なネットワーク)」という銘打ったSaaSのプラットフォームを開設することで合意した。ユーザーは友商網でオンラインアカウントをつくり、ビジネスプロセス管理、ブランド戦略、商品取引、情報検索などのサービスを共有できる。
昨年11月末のサービス開始直後、友商網は貿易、サービス、製造業など多業種にわたる企業数百社を第一陣ユーザーとして確保し、理想的な船出を果たした。12月中旬には、友商網のプロモーションイベントが深センで行われた。友商網を一度体験してみようと、会場に駆け付けた参加企業は予想人数をはるかに超え、その場で契約する企業も多かったという。このように、友商網の高いポテンシャルには大きな注目が集まっている。
新戦略が発表された翌日の今年4月3日、金蝶集団は北京市を構成する一自治体である順義区と、「北京金蝶軟件園(北京金蝶ソフトパーク)」の建設に合意した。金蝶集団は同区から約13ヘクタールの土地を購入し、上海、深センに次ぐ同社三番目のソフトパークを作ることになった。
金蝶集団の発表によると、北京金蝶ソフトパークの最も重要な役割は、金蝶集団を製品志向企業からサービス志向企業にシフトさせる、いわば戦略転換を担うところにある。具体的に言えば、同パークは、北京の政治、経済、文化、人材などにおける総合的な優位性を十分に活用し、金蝶集団の中国北部における経営資源をインテグレートしながら、ソフト開発とマネジメントのハイレベル人材を吸収。上海、深センとの「三足のわらじ」の体制で今後の戦略転換を実現しようというのだ。