マイクロソフトは13日、「Windows Vista」が地上デジタル放送に対応したことを発表した。対応するのはHome Premium、Ultimateの「Windows Media Center」。「Windows Media Center TV Pack」としてデジタル放送のTV番組視聴機能を拡張する(日本の地上デジタル放送の規格技術「ISDB-T」をサポート)。今回は、アップデートでは対応せず、夏以降に登場するPCにプリインストールされた形で提供する。

発表会では、マイクロソフト 執行役 常務 ビジネス&マーケティング担当 佐分利ユージン氏がコンシューマ向けサービスではコンテンツが重要であると説明。

「Windows Media Center TV Pack」を説明する、マイクロソフト 執行役 常務 佐分利ユージン氏

Windows Vista出荷開始から、ガジェットなどのコンテンツを提供してもらうことで連携してきたTV局5局(テレビ朝日、東京放送、日本テレビ放送網、日本放送協会、フジテレビ)との協力をさらに拡大。Windows Media Center TV Packを搭載した地上デジタル放送対応Windows VistaマシンによりPCにおけるTV視聴環境を提供することで、TV放送とインターネット上のコンテンツをインタラクティブに連携させた。さらにPCならではのインタフェースを採用することで、利便性の高い環境を作り上げた。

普及を目指して、PC販売でのボリュームゾーン15万円以下をターゲットとして設定。リビング以外、書斎やベッドルームといった2台目TVの買い替え需要を狙ったものとなっているほか、放送とインターネットの連携による新たなビジネスモデルの展開も考えているとした。

マイクロソフトの笠原健司氏は、アナログチューナー付きPCの落ち込みをデジタルチューナー付き製品がカバーできていないことを説明

マイクロソフト デジタルエンターテイメント パートナー統括本部 本部長 笠原健司氏は、TV対応PCの現状と「Windows Media Center TV Pack」の詳細について説明。2006年10月には全体の22%を占めていたアナログチューナー付きPCが急に落ち込み、それに呼応するようにデジタルチューナー付きPCが伸びてきた。

しかし、デジタルチューナー付きPCの立ち上がりは遅く、アナログチューナー付きPCの落ち込みをカバーできていないのが現状だ。アナログチューナー付きPCとデジタルチューナー付きPCの価格差は、2006年10月では10万円だったのが、2008年8月には5万円程度になると予想。これだけ値段が下がってきたがまだ高いとした。

OSでネイティブにサポートすることでEPGやデータ放送の表示、チャンネル切り替えの処理が高速になり、しかも15万円以下のボリュームゾーンで発売することで普及させていく。一方、デジタルテレビの販売数を見ると、20インチ以下のサイズの伸びが著しいことから、パーソナルユースのニーズが増えていることがうかがえる。地上デジタル放送対応PCに置き換えることもできるとした。

その後、各テレビ局が提供予定のサービスを説明。NHKでは、24時10分から若い人に向けた番組を放送中。このコンテンツをNHKのガジェットで提供する。そこから番組情報を発信し、番組の視聴も可能だ。続いて、日本テレビの取り組みを説明。フロー情報としてTVを見たいというニーズ、ストック情報としてPCを使って知りたい / 調べたいというニーズを分析。この2つを組み合わせ、リアルタイムで見たい、知りたい情報も多いコンテンツとして、スポーツをピックアップした。今回は、地上デジタル放送で野球を見ながら、各選手のこれまでの情報を調べるだけでなく、見ている試合の各打席から1球ごとの情報までを、リアルタイムに提供することを考えている。テレビ朝日はニュース、TBSではショッピングを例にあげていた。フジテレビは動画配信サイトとの連動を紹介した。

日本テレビの例。野球の実況放送を見ながら、選手の情報だけでなく、各回のダイジェストまで確認できる

テレビ朝日は、ニュースの視聴予約やガジェット内でのニュース動画配信をデモ

TBSはショッピングの受注状況を公開。パソコンやモバイルの伸びが顕著で、重要視すべき分野だとした

フジテレビは、放送とWebサイトに加えてビデオオンデマンドとも連携

最後の総務省 情報通信政策局 地上放送課 課長 吉田博史氏が、デジタル放送受信機3471万台のうちPCはまだ109万台しかないことを説明。4月に内蔵および外付けチューナーのガイドラインを発表し、広がりを期待しているとした。2011年には地上デジタル放送への移行とともに、光ファイバー網も整備され、インターネットと放送の連携がさらに進むことを示唆した。