ソフトバンクの孫正義社長

既報のように、ソフトバンクの2008年夏商戦向け携帯電話新製品のキーワードは「女性」だ。同社の孫正義社長は、「Summer Collection 2008」と題した新商品発表会見の冒頭、「ソフトバンクとして携帯電話事業に着手して2年経過したが、若干弱いと思われるのは女性にとっての使いやすさだった」と話した。「他社に比べ男性ユーザーの比率がやや高かった」(孫社長)ことから、デザイン、大きさ、機能など、徹底的に女性を意識した商品開発に力を注いだ。「今回は新製品のほとんどが女性向けで、そんなに女性ばかり重視するのか、といわれれば、その通り」(同)で、「女性にモテたいソフトバンク」 (同)がこの夏のもうひとつのキーワードとなる。

では、女性が同社の携帯電話に対し、最も望んでいる機能は何か。同社がアンケート調査を実施したところ、その答えは「防水性」だった。この結果について孫社長は「私自身驚いたのだが、何度調査しても同じだった。入浴しながらメールをやりとりしようというようなときに、防水性が高くないと心配になるといったことが背景にあるようだ」と指摘する。

女性ユーザーへの配慮は防水性だけではない。「端末の幅が48mmというのが、女性の手にすっぽりと収まる最適の数値」(同)であるとともに、「世界観を大切にしたい。筐体が最も薄く、それが何mmであるとか、GPSだとか、男性の技術者が志向するような要素ではなく、セクシーで、エレガントで、フェミニンな世界観にこだわった」(同)ことが、今回の商品群の基本的な発想の根底にある。

「世界観へのこだわり」は、製品の随所にさまざまなかたちで盛り込まれている。世界最薄防水ワンセグケータイの「THE PREMIUM WATERPROOF(824SH)」は、ヒンジ部のLEDとキーライトが光る「マルチイルミネーション」を搭載し、着信時、メール受信時、操作中などに多彩なパターンで光る。女性の手のひらに収まるサイズのPANTONEケータイ第2弾「825SH」は、押しやすいように丸みを帯びたキーを採用している。また、雑誌「GLAMOROUS」(講談社)とのコラボレーションモデル「821N GLA」では、着信などを光って知らせる「マイシグナル」機能、のぞき見防止機能「プライバシーアングル」機能などを備えている。

「GLAMOROUS」のモデル、道端ジェシカも応援に駆けつけた

新たなサービスとしては、電話をかける相手の画面上に、20字までのメッセージ、絵文字、音楽、画像などを表示する「着デコ」と、1台の携帯電話で、2つの番号とメールアドレスを使える「ダブルナンバー」が追加された。「ダブルナンバー」は、NTTドコモが「2in1」の名ですでに同様のサービスを開始しているが、孫社長は「すばらしいサービスで、さすがはドコモと敬意を表していた。ただ、我々は単に後追いではなく、2回線目の方も、ケータイから(Webメールを使わず)メールを送れるし、デコレメールやファイルの添付もでき、1回線目と同じように使える」と述べ、優位性を強調した。

通話する前にコミュニケーションできる「着デコ」

2回線目も、1回線目と同様の操作でメールなどが使える「ダブルナンバー」

今回はさらに、「絵文字」を一新した。これまで、他社の端末に絵文字を送ると文字化けしたりイメージが異なることがあったが、他社共通絵文字モードを用意したり、他者の絵文字とデザインを近付けることで親和性を高めた。また、絵文字のデザイン自体も見直した。「1文字1文字にこだわりぬいた。No.1の好感度になれるよう、愛着の沸くものにした自信作」(同)だという。

新しくなった絵文字

仲良しの「ホワイト家族」が登場、「お父さん」は一人旅中?

今回の会見には、好感度No.1(CM総合研究所調べ)となっている、同社のCMに出演している「白戸(ホワイト)家」の面々が「特別記者会見」に臨んだ。

「白戸」家一家と孫社長。「お父さん」は一人旅に出て欠席

ソフトバンクショップに勤務するOL役の上戸彩には、1月の春モデル発表会で、ティファニーとのコラボレーションによるスペシャルモデルが贈られると発表されていたが、実物はまだ手渡されていない。孫社長が「作るのに時間がかかっています。彩ちゃんの誕生日がある9月には間に合わせたい」と答えると、お母さん役の樋口可南子は「私は12月なんですけど」と一言。孫社長も勢いに負け、お母さんにもティファニー携帯が贈られることになった。お兄さん役のダンテ・カーヴァーは、CMタレント好感度ランキング男性部門1位になったことについてコメントを求められると「予想外です」と語り、会場を沸かせた。お父さんは「一人旅に出ている」(お兄さん)そうで、欠席だった。

「お兄さん」役で人気のダンテ・カーヴァー

「すっかり、家族の仲は良くなりました」と話す上戸彩

「お父さんは、ああ見えて怖い人なんです」と、お母さん役の樋口可南子

ティファニー携帯の製作に時間がかかっていることをステージ下から釈明する孫社長

この日は午前中に、競合であるKDDIも新商品を発表しており、目玉は、映画の配信サービスと、端末の割賦販売、新料金プランだったが、これについて孫社長は「我々も動画配信にはすでにいろいろな形で取り組んでいる。たとえば、プロ野球でいえば、パリーグはすべての球団の試合、セリーグは巨人・阪神の主催する試合のダイジェストを配信している。むしろコンテンツが重要だ。独自のものを増やすとともに、大容量ファイルを頻繁に送れるよう、設備増強も着々進めている」「auの料金プランはさまざま条件付のものと聞いている。ソフトバンクは無条件で基本料金が980円だ。『ただ友のワ』で、ホワイトプランユーザー同士なら、1時~21時までは国内通話は無料になる。当面、いまのホワイトプランを続ける」としている。