既報の通り、NTTドコモはFOMA携帯電話の新機種を発表した。同社の中村維夫社長は会見で、経営ビジョン「新ドコモ宣言」発表後初めての端末発表ということで、「これは序章に過ぎない」と今後の戦略に含みを持たせた。

会見にはケータイ動画配信を実施するAKB48の面々も駆けつけた

ケータイ動画時代の幕開けを告げる

今回発表されたのは「FOMA 906iシリーズ」が8機種29色、「FOMA 706iシリーズ」が11機種34色の19機種。中村社長は「今までにいただいたお客様の声を受け止めて商品開発に反映させた」と述べ、ユーザーの要望に応えた新製品であることを強調する。

中村維夫社長

新ドコモ宣言では、新しい変革ビジョンとして4つの柱を提示し、顧客の満足度をさらに高めることを目標としている。その中で、「市場環境の変化に応じて一人一人に合う高い付加価値を提案していく」(中村社長)ことを目指している。そして今後のニーズで「動画がポイントになる」(同)とみて、「ケータイ動画」環境を整えて顧客のニーズに応えていきたい考えを示す。

ただ、単に「ケータイ動画」といっても動画コンテンツ、ワンセグ、PC・家電との連携など、ユーザーのニーズは多様化していると指摘。新製品ではユーザーニーズに応える製品として中村社長は、「幅広い層に使ってもらいたいと商品化した」と話す。

そして「本格的なケータイ動画時代の幕開け」をもたらすため、端末だけでなく「ホームU」「ポケットU」といった新サービスも提供。ユーザーの声に応え、数々の施策を「堅実かつ着実に取り組み、満足してもらう企業になりたい」と抱負を述べ、今回の発表は「序章に過ぎない」とした。

ケータイ動画時代の幕開けを告げる要素は4つ

ユーザーの声を真摯に受け止めたAnswer

中村社長に続いて登壇した執行役員でプロダクト&サービス本部プロダクト部長の永田清人氏は、中村社長と同様に「お客様の声を真摯に受け止めた」と繰り返し表現。顧客の声を元に開発したという端末に関して説明した。

永田清人部長

そのユーザーの声とは、同社のコールセンターに寄せられた2,700万件にも及ぶ要望や批判などだ。「この声を元に商品作りをやってきた」と永田氏。その声の中には、905iのハイスペックや海外対応といった喜びの声に加え、ボタンが押しにくい、薄型のワンセグケータイ、防水対応のワンセグケータイ、使わない機能を省いて使いやすいケータイなどの要望が寄せられてきたという。

ユーザーから寄せられた声

寄せられた声に対する答え

これらの要望の中から永田氏は「Answer(答え)」として「オールラウンド動画ケータイ」906iシリーズ、個性派でスリムな706iシリーズ、使いやすさを追求した706ieシリーズを開発したという。

例えば「F706i」で防水対応ワンセグケータイ、「P706iμ」で3Gの折りたたみ型としては世界最薄という薄さ9.8mmのワンセグケータイを実現。健康に対する要望も強かったとしてウェルネスケータイ「SH706iW」を用意したほか、「使いやすい、ユーザーに優しい機能を提供できる機種」(永田氏)として文字が大きく、音声が聞きやすいなどの使いやすさを追求した「706ieシリーズ」も4機種用意した。

906iシリーズでは905iで搭載された機能に加えて動画機能を強化。さらに従来の機能も強化するなどした。

706iシリーズ

906iシリーズに搭載された機能

「すでに3分の1の人が楽しんでいる」(同)というデコメールでは、Flashアニメをサポートした「デコメアニメ」を提供。時間と同期したアニメや受信者のボタン操作に反応するアニメなどが送受信でき、「アイデア次第で(新しい)サービスを含めて無限に広がる」(同)機能だという。

デコメアニメ。ちょうど誕生日になる時にアニメが表示されたり、ゲームのようにユーザーのキー操作に反応する

さまざまなデコアニメがコンテンツプロバイダーから提供される

ほかにも、GSMの対応を拡大、電波が入らなくても利用できる災害時用地図アプリの提供、UIの刷新、買い換えても同じ操作で利用できる「ダイレクトメニュー」などの機能を用意。

利用地域、端末の拡大だけでなく、iDの海外展開も

GPSの利用も増え、電波が届かなくても地図が利用できるように

最近利用した機能が優先的に表示されるなど、使いやすさを向上するダイレクトメニュー

ケータイ動画は現利用者2割に加え、できれば利用したいという人が4割近くいるとして、「ドコモ動画」を提供する。これは単一のサービスではなく、Music&Videoチャネル、iアプリムービー、デコメアニメ、テレビ電話、ワンセグ、Windows Media Video対応に加え、新たに2MBまでの動画アップロード機能、ソニーのBlu-rayレコーダーからの映像転送対応、ポケットUといった動画関連サービス・機能をひとまとめにした呼称だ。

動画関連サービスをまとめたドコモ動画

自宅PCに外出先の携帯・PCからアクセスできるポケットUやBDレコーダー対応も

動画ポータルサイトをリニューアルし、動画をよりかんたんに利用できるようにしたほか、夏キャンペーンとして300本以上の動画コンテンツを無料で提供する。これによって「ケータイの新しい楽しみを提供したい」と永田氏は話す。

キャンペーンで豊富な無料動画を用意し、ユーザーの利用を促していく

無線LAN対応「N906iL」で、自宅内などではIP電話として利用したり、無線LAN経由でiモードにアクセスしたりできるホームUも新たに開始する

永田氏は、今回の新端末では「ユーザーの声は100%拾えていない」と述べ、まだユーザーニーズにはすべて応え切れていないとの認識を示す。ユーザーの声に優先順位を付けて応えているとのことで、開発基盤において「これまでは(サービスや機能の)提案を行ってきたが、(ユーザーが)困っていることを解決する」(同)という考え方に変わっているのだという。ドコモでは、今後もユーザーの声に応えていく端末開発を続けていく意向だ。