「免費遊戯」に「IB方式」を組み合わせ
中国でインターネット管理に関わる省庁の某高官によると、2006年にリリースされた数百タイトルのオンラインゲームの中で、8割以上が無料ゲーム(免費遊戯)であり、これらの無料ゲームがオンラインゲーム市場の売上総額の6割以上を占めている。
2007年以降、市場に投入されたオンラインゲームをみると、無料ゲームが圧倒的に多い。そしていま、中国のオンラインゲームは無料ゲームの天下だと言われている。それでは、無料ゲームはどうして「金脈」になりえたのだろうか。
その最大の秘密は、無料化されたのがプレイタイムだけだった、ということである。オンラインゲーム業界で「Item Billing(IB)」と呼ばれる方式で、プレイタイムは無料だが、ゲームに使う道具や武器などは販売するビジネスモデルだ。
プレイタイムの無料化で、プレイヤーはカネを使わず、懐を気にせず気軽にプレイできるようになった。だが、より楽しくゲームをプレイするためには、あるいはゲームにおいて成功するためには、道具や武器などを購入しなければならない。時には、そのために「大金」を支払う覚悟も必要になる。
「無料」の看板は「客寄せパンダ」
要するに、「無料」はただの客寄せパンダ、一つの看板にすぎなかったのだ。愛嬌のあるパンダに魅了され、ゲームにのめり込んだプレイヤー、特に経済力のあるプレイヤー達は、アイテム購入のためついつい財布のひもを緩める。それに比例してオンラインゲーム企業の収入が膨れ上がるという仕組みなのだ。
あるオンラインゲームサイトでは、1日の平均オンライン人数10万人のゲームに例に、プレイタイムを計算式に入れ、プレイ料金を徴収する方式と、プレイ料金無料制とIBを組み合わせた方式とを比較してみたところ、後者の売上が前者より50%も多くなることが分かったという。
また、巨人網絡のドル箱ゲームである征途について、あるプレイヤーは自分の経験から、「免費+IB」方式を次のように語っている。
「無料の看板をみて征途に参加したが、やってみると無料開放されているものは全く面白くない。楽しもうと思えば次から次へと武器などを買わなければならない。自分はこのゲームを始めてから2カ月で2,000元(約3万円)以上も使ってしまった。でも、このゲームに1万元(約15万円)を超える大金を注ぎ込んだヤツも珍しくはないよ」
プレイヤーにしてみれば、無料ゲームは、金を吸い込む巨大なブラックホールのようなものだ。史玉柱氏は「征途は経済力のあるプレイヤーだけから儲けている」と言ったことがある。オンラインゲーム企業にしてみれば、"無料ゲーム"こそ最大の収入源となっているのだ。