日本AMDは、サーバロードマップの更新に関する説明会を開催した。これは5月7日に米国で発表された内容をあらためて国内向けに説明したものだ。

日本AMDマーケティング本部プロダクトマーケティング部長の山野洋幸氏

B3リビジョンの「Barcelona」の状況に関しては、3月31日にワールドワイドでの出荷をスタートした後、日本での製品出荷も進んでおり、間もなく全てのベンダからの製品が揃うのではとしている。Barcelonaに関しては、同じ価格帯、同じ熱設計枠での競合プロセッサを搭載したシステムと比較したグラフを紹介。システムレベルでのパフォーマンス/ワットというのメリットを紹介した。

Opteron 2365とXeon 5440のパフォーマンス比較

システムレベルでの消費電力の比較

2プロセッサ以上のロードマップでは、このBarcelonaに続き、2008年内に45nmプロセスのクアッドコアCPU「Shanghai」が投入される。45nmプロセス化により、アイドル消費電力が20%ほど削減できるとされるほか、クロックの引き上げも可能としている。プロセス技術のほかは、L3メモリを6MBに増量、cHT-3(Coherent HyperTransport 3)に対応、Registered DDR2メモリのサポートもRDDR2-800まで拡大されるという。AMD-V仮想化技術に関しても、世代をまたいだマイグレーションを提供するとしている。

Shanghaiの特徴

2009年後半には45nmプロセスで6コアの「Istanbul」が登場する。従来のロードマップでは、Shanghaiの後、RDDR3メモリに対応するSocket G3に移行するものだったが、これは後退した。その間に投入されるのがIstanbulだ。IstanbulはRDDR2メモリ、Socket Fを継承している。山野氏は、「Barcelonaで適用されているSocket Fプラットフォームを最小限の変更でそのまま利用できるロードマップ」という。

2P/8Pプロセッサの新ロードマップ

また、これまでSocket G3と呼ばれていたソケットは「Socket G34」という名称に切り替わった。Socket G34の登場は2010年の予定。プラットフォームでは「Maranello」と呼ばれる。CPUでは、6コアIstanbulのG34プラットフォーム版となる「San Paulo」、San Pauloをダイレクトコネクトモジュール形式で2つ搭載した計12コアの「Magny Cours」が予定されている。San Paulo、Magny Coursともにプロセスは45nm。AMDにおける32nmプロセスの導入スケジュールは今回のロードマップには記載されていない。San Paulo世代での変更点は、cHT-3がCPUあたり4本、Probe Filterの搭載など。Maranelloプラットフォームに対応するチップセットは、AMD製品ではAMD RD890S/RD870Sが予定されている。

サーバ/ワークステーション向けユニプロセッサ製品では、2008年中は65nmプロセスの「Budapest」、2009年に45nmプロセスの「Suzuka」が控える。Budapestの出荷時期に関しては「もう間もなく」としている。

サーバ/ワークステーション向けユニプロセッサ製品の新ロードマップ

なお、昨年までのロードマップに存在していた新アーキテクチャのBulldozerコアに関して、山野氏は開発自体に問題を抱えている、遅れているというけではない、としている。「基本的にはRDDR3メモリを使ったプラットフォームがどこまでマーケットでマチュアになってくるか」であるとのこと。業界全体の動向をふまえ、エンドユーザーとの会話から、これがベストというスケジュールにしたのが今回のロードマップであるとした。