ネットワークの一部としてのセキュリティはありえない

ネットワーク機器ベンダとの競争はどうだろう? 米Cisco Systems、米Juniper Networksなどのネットワーク企業がセキュリティを機能として提供しており、Check Pointと競合関係にある。

「セキュリティはネットワークの一機能ではない。もっと大きな課題だ」とShewd氏は言う。「セキュリティへの要件は(ネットワークへの要件と)異なる。ネットワークインフラはシンプル。数十年前から同じアルゴリズムと技術を利用して、いかにして信頼性を上げてスピードを高速にするかで改善が続いている。一方、セキュリティは新しいアルゴリズムや技術が常に登場し、新しい脅威に対応していくという性質を持つ。このように、開発DNAがまったく異なる」。

「われわれは15年近くこの業界でやってきた。セキュリティにきちんとフォーカスするためには、セキュリティを独立したレイヤにする必要がある。ネットワーク独立性がなければ不可能だ」と述べ、ネットワークの一機能では不完全だという見解を示した。

ウイルス対策ベンダとは競合しない

Check Pointはファイアウォールから拡大し、エンドポイントセキュリティ製品「Check Point Endpoint Security」を提供している。将来的に、米Symantec、米McAfeeらと競合することになるのか?

これについてShewd氏は「競合はない」と断言する。「ウイルス対策ソフトウェアは重要な技術であり、コモディティ技術だ。Endpoint Securityのメッセージは、既存のウイルス対策ソフトの置き換えではなく、セキュリティ管理、データセキュリティ、リモートアクセスなどの機能を強化するものだ」と説明する。

顧客の中には、既存のウイルス対策ソフトを使い続けるところもあるという。「われわれはウイルス対策ベンダを尊敬している。だが、われわれのフォーカスは、セキュリティレベルの改善と管理の簡素化だ」と述べ、協業をアピールした。

ポートフォリオを完成させたUTM

今回のイベントで発表されたアプライアンス「Power-1」

「UTM-1」などで展開しているアプライアンス戦略はどうだろうか? アプライアンスは、ソフトウェアベンダーとして創業したCheck Pointにとって、大きな戦略変換となった。

「好調だ。顧客からのフィードバックもよい。単一のサポート、管理を提供するので、顧客の中には、既存のIPSなどの製品を置き換えるところも出てきている」(Shewd氏)。アプライアンスのメリットについては、「導入・設定が容易になる。管理機能も強化している」と説明する。管理者は同じスキルレベルで利用できるという。

製品ラインナップは、昨年はミッドレンジを中心に展開したが、今年はこれを拡充。会期中に発表したハイエンドブランド「Power-1」とエントリの合計5機種により、あらゆる価格帯で製品をそろえた。「パフォーマンスでは、0.2Gbps - 4Gbpsまである。UTM製品ラインナップを完成した」とShewd氏。