米フロリダ州マイアミにあるPsystarというIT会社がMac OS X 10.5 Leopardが動作するPC「Open Computer」「OpenPro Computer」の発売を開始した。Mac miniよりも安い価格で、Mac OS Xがネイティブに動作するよりパワフルなコンピュータ(Open Computer)を得られるとアピールしている。

Open Computerは普及帯向けの製品だ。2.2GHz Intel Core 2 Duo E4500プロセッサ、2GB DDR2、250GB 7200RPM SATA HDD、Intel GMA 950グラフィックスという構成で399.99ドル。オーダーはBTO形式で各パーツのアップグレードのほか、155ドルでMac OS Xのプリインストールを選択できる。OpenPro ComputerはMac Proユーザーを狙った製品で、2.6GHz Intel Core 2 Duo、2GB DDR2、150GB 10000RPM SATA HDD、GeForce 8600GT 512MBという構成で999.99ドル。2.6GHz Intel Core 2 Quad、8GB DDR2、1TB 7200RPM SATA HDD、GeForce 8800GT 512MBという構成にしても1924.99ドルに収まる。OpenProではOSのプリインストールオプションとしてMac OS Xのほか、Ubuntu Linux、Windows XP、Windows Vistaを選択できる。

Psystar製品はEFIのエミュレーションによって、Mac OS Xのインストール・動作を実現している。これはOSX86Projectの成果を用いたという。ただしAppleはMac OS Xのエンドユーザー使用許諾契約書(EULA)を通じて、同OSの利用をAppleブランドのコンピュータに制限しており、Psystar製品での使用は認められないものとなる。またPsystarがMac OS X互換をアピールした製品をエンドユーザーに販売することの問題も様々な場所で指摘されている。

PsystarはMac OS X互換機の名称を「OpenMac」という製品名で販売し始めたが、米国時間の4月14日に米メディアが同製品を報道し始めると同時に同社のWebサイトがダウン。15日に販売が再開された時には製品名が「Open Computer」に改められ、OpenProがラインナップに追加された。名称変更は、Mac OS X互換というイメージと距離を置き、オープンさを印象づける狙いがあると思われる。Psystarはライセンス問題に対するコメントを避けているが、同社のWebサイトでは「Open Computerの狙いは、AppleのOSの侵害ではなく、ユーザーが選択したハードウエアで同OSを動作できるようにすることだ」「独占されていたハードウエアを解放するという狙いを反映してOpen Computerと名付けた」と説明している。

Open/ OpenPro Computerでは、無線LANやBluetoothが利用できないなど、Mac OS X向けにデザインされたMacの優れた利用体験を再現するには至っていない。またソフトウエアアップデートについても、可能ではあるが「安全とは断言できないアップデートもある」としている。これはアップデートすることで、Mac OS Xが動作しなくなる可能性を指していると思われるが、セキュリティ修正などが含まれるソフトウエアアップデートが受けられないと、ユーザーの"安全な利用"が脅かされることになる。