各部に見られる使い勝手の良さ
かつての*istDシリーズはコンパクトさがひとつの特長だった。それがK100Dで少し大きく重くなり、K200Dではさらに拡大され、とうとう600gを超えてしまった。ちょっと寂しい。それでも大きすぎるわけではなく、手のなかにすっぽり収まる感覚は残っている。
グリップはエントリー機としては少々大きめ。しかし単三形電池が入るため、これ以上小さくするのは簡単ではないだろう。ホールドそのものは悪くない。指の収まりもいい。高いカメラではないが、グリップのまわりにゴム材を張るなど、ちゃんと作り込んであるのがいい。
フォーカス音は甲高い音。それでも以前のモデルよりずいぶん抑えられていると感じた。レンズ(DA 18-55mm)がコンパクトなためか、トルク反動はあまり感じない。シャッターは半押しが軽く、その後がストロークがあるタイプ。レリーズは"ジャカコン"という感じで、ギヤの噛み合わせを感じる。不快ではないが、もっと軽快なほうがいいと思う。
ボタン類は小柄だが使いにくくはない。プチっと押す感触だ。十字キーは小さいわけではないが、狭い部分に集中して置かれているようで、扱いにちょっと気を遣う。K20Dのような十字キー回りのダイヤル(測距点切り替えダイヤル)がないのだから、もっとボタンを大きくしてラフに使える感じがほしい。
ボタン類の配置は一般的で特に迷うこともない。ただK20Dの露出補正ボタンが背面にあるのに対し、K200Dでは前方のシャッターボタン近くに置かれている。これは電子ダイヤルがK200Dはひとつしかなく、それが背面に置かれているためだろう。
レンズマウント脇の「RAW」ボタンはユニークな存在だ。JPEGで撮影している場合、これを押した場合のみ一時的にRAW+JPEGの同時撮影を行なうもの。「ここはちょっとRAWで撮っておきたい」といった時に大変便利な機能だ。
再生時の画像拡大は電子ダイヤルを回す方式。オリンパスもそうだが、この方式は希望どおりの大きさに素早く拡大でき、とても使いやすい。ボタン連打式よりもこちらのほうが便利だと思う。さらにK200Dには「クイック拡大」の機能があり、指定した倍率に最初の1クリックでジャンプする。これも便利だ。
また、通常再生だけでなく、撮影直後の確認時も同じように画像が拡大表示できる。また、この状態では撮影中であると認識され、各メニューも撮影時のものが開く。例えば画像確認中に[Fn]ボタンを押すと、撮影時のメニューに切り替わる。当たり前だが、これができないカメラがけっこうあるのだ。
使用頻度の高い機能は[Fn]ボタンに
[MENU]ボタンで開く通常メニューのほか、[Fn]ボタンで開くメニューに使用頻度の高い機能が割り当てられている。機能のリストではなく、十字キーと[OK]ボタンに割り振られた機能が表示される仕組みだ。撮影時には、カラーモードである「カスタムイメージ」、連写やセルフタイマーなどの「ドライブモード」、「ISO感度」、「ホワイトバランス」、「ストロボモード」の5つがワンタッチで呼び出せる。
再生時の[Fn]メニューには「プリント予約」などがあるが、便利なのは「画像比較」だ。撮影した画像を2枚並べたまま同時に拡大したり、表示位置の移動や、片方を前後のカットに変更するなど、多彩な比較表示ができる。また、色調を変えたりソフトやスリム加工を行なう「デジタルフィルタ」も、この再生[Fn]メニューから機能を選択する。
再生[Fn]メニューはもちろん、撮影時の[Fn]メニューでも撮影直後であれば、背景に撮影した画像を表示し、それの変化を見ながら設定が可能になる。たとえばホワイトバランスやカスタムイメージでは色の変化がわかるのでとても便利。ただ、画像を表示させたままメニュー操作すると、動作が重くなるのが難点だ。
[MENU]の通常メニューは、横方向でグループを選び、上下で各機能を選択する方式。グループは「撮影」「再生」「詳細設定」「カスタム」の4種類で、各グループで機能のリストが上下にスクロールする。項目選択中であっても、ダイヤルを回すと横のグループへ移動してくれる。また、単純に選択するだけの機能は別画面に移行せず、メニューの右端に選択肢が現れる。これはいいと思う。ただ、メニューは最後に使った場所を覚えず、常に撮影モードのタイトル行が開いてしまう。
最近増えてきた撮影情報の常時表示だが、K200Dにその機能はない。しかし撮影時に[INFO]ボタンを押すと、30秒間だけ情報が表示される。アイコンを多用した表示で、特にデザインされたものではないが、これを常時表示してもいいのではないか。
カスタムイメージの切り替えメニュー。十字キーの下ボタンを押すと詳細設定に |
ホワイトバランスの選択。撮影直後であれば、画像が背景に表示され、色の変化が分かる |
[MENU]ボタンで表示される通常のメニュー。メニューは常にこの状態で開く |
メニュー操作。選択だけなら次の画面には移らず、メニューの右端で選ぶ |
標準では表示時間1秒、警告もなしなので、使いやすく設定したい |
露出設定ステップも標準では1/2EV。やはり1/3EVステップのほうが使いやすい |
ペンタックス独自のハイパープログラム・ハイパーマニュアル
K200Dにはライブビュー機能はないが、「プレビュー」機能は備えている。これはふたつ方法があり、カスタムメニューの「18. プレビュー方式」で設定する。「光学プレビュー」は通常開放になっている絞りを設定した絞り値まで絞り込み、被写界深度をファインダーで確認するもの。フィルムカメラのころから広く使われている機能だ。もうひとつは「デジタルプレビュー」で、仮撮影を行なってモニターに表示。構図やピント、色の具合などを確認するもの。デジタルの場合、試し撮りすればいいわけだから、それほど便利な機能とは思えない。しかしフィルムカメラの頃から存在する機能に、新しいデジタルの機能を乗せて行く考え方はおもしろいと思う。
ペンタックス独自の「ハイパープログラム」「ハイパーマニュアル」もフィルムのころから受け継がれてきた機能だ。ハイパープログラムは、プログラムAE時にダイヤルを回すと、適正露出を保ったままシャッター速度優先AEか、絞り優先AEに切り替わる機能。電子ダイヤルがひとつしかないため、K20Dのように前後のダイヤルを駆使して両AEを行き来するというわけにはいかないが、ユニークな操作性であることには間違いない。
ハイパーマニュアルは、マニュアル露出ながら、グリーンボタンを使って簡単に適正露出に戻せる機能。これもプログラムライン(自動調整)のほか、絞りを固定したまま適正露出にする「Tvシフト」、シャッター速度固定の「Avシフト」が選択できる。
このグリーンボタンはそれ以外の設定でも、"元に戻す"的な役割を与えられている。例えばカスタムイメージの詳細設定でグリーンボタンを押すと初期設定に戻るし、ホワイトバランスでも同様だ。慣れてくると、グリーンボタンをとても重宝するはずだ。