SaaSは、ソリューションサービスの形式なので「世の中に提供するまでには、いくつかのステップがある。できるだけインフラに近いもので、確実に供給できるサービスとして、まず最初は、リモートアクセスのサービスに着手した。当社は、スーパーコンピュータの保守を24時間365日の態勢でやってきたので、新しいサービスでも、運用維持の要員を確保できた。課金の仕組みもクレジットサービスでできるようにし、SaaSで横展開していける基盤をつくること」(秋野氏)ができた。「既存の保守業務とSaaSのサポート部隊を兼務した要員は40-50人程度の態勢を確保している。SaaS事業により、仮にサーバ台数が増えたとしても、プラットフォームを共通化、業務は標準化しているので、それほど労力が大きくなるわけではないし、この共通基盤にサービスを載せていくため、コストも高くならない」(同)ことが強みだ。「メディアエクスチェンジやバックエンドの構築ができ、いまはインキュベートの時期」(同)に入っている。

SaaS事業の基盤を整備

DesktopVPNは同社の社内での業務にも利用されている。メモリスティックに実行モジュールを装備できるので、ホテルやネットカフェでも、ノートパソコンとメモリスティックだけでシンクライアントが実現できる。「セキュリティへの配慮から、外部から企業内にアクセスできなかったり、企業内で使っているノートパソコンを持ち出すことができないという状況になっているが、中小企業では、そのような点に対処するため、DesktopVPNで仕事を行う導入例も出ている」(同)という。

DesktopVPNでSaaSに本格参入した結果、ここまで、およそ半年になるが「順調に、顧客を獲得できている。バックボーンとして、信頼性の高い回線を用意したことが良かった。この時点まで、正にノンストップできている。目立ったトラブルはない。コンシューマ向けにまず販売して、法人にもこの2月からメッセージを発信している。中小企業をターゲットに、より一層の拡大を目指す」(同)とする。

DesktopVPNに続く、同社のSaaS事業第2弾として、2月からは「業務用のデジタルパブリッシングサービス」を開始している。同社が従来から提供している、デジタルコンテンツを制作/表示するソフトウェア群「VizImpress enVision」を、今回、SaaS型の新サービスとしたものだ。

このサービスでは、印刷、出版業務で使用される、高解像度の印刷物データを用い、Web上で高速に拡大/縮小するなど、直感的に操作できるコンテンツとして表示することが可能で、カタログやチラシなどをデジタル化できる。秋野氏は「このデジタルパブリッシングサービスは電子チラシのサービスを安価に提供でき、参入がしやすい。VizImpress enVisionは、使いやすいユーザーインタフェースを備えており、使い勝手が良いとアピールしている。広告を見るうえで便利なだけではなく、エンドユーザーがクリックした内容のトレースができる。広告のどのあたりを何時頃閲覧したか、などのデータを分析することが可能で、マーケティングツールにもなる」と語る。

VizImpressによるWeb配信の特長