3月4日~3月7日の期間、東京ビッグサイトで、次世代の流通・商業施設に関する展示会「街づくり・流通ルネッサンス」が開催されている。メインの会場は店舗総合見本市「JAPAN SHOP 2008」となっているが、そのほかにも「建築建材展2008」、「IC CARD WORLD 2008」などが同時に行われている。これらの多くは、流通や建築などの業界関係者向けのものだが、特別企画展として開催されている「LED Next Stage」は、LEDの新技術やLEDを使った新製品などが展示されており、我々一般のユーザーにとっても興味深いものとなっている。今回は、一般家庭でも使用可能な製品に絞って、レポートをお届けしたい。
以前は、LEDを使った照明器具というと、USBポートに接続するガジェット的なものが多かったが、最近では、東芝ライテックのE-COREシリーズや、松下電工のEVERLEDSシリーズなど、照明器具として実用的で、かつ初期投資を考慮しても経済的な製品がいくつかリリースされてきている。
松下グループのブースでのメインの展示は、先日発表された「新型MFORCE搭載 LEDシーリングライト」。白熱灯100Wに相当する画期的な照明器具だが、これはあくまでもオフィス向けの製品。価格的にも、5万5,000円前後と、一般家庭で使用するには、まだ敷居が高い。一般家庭向けの製品としては、先日発表された「Filatol」を初めとする「EVERLEDS」シリーズの製品も展示されている。しかし、「LED照明器具は、長寿命、省エネということが直接のメリットとなる、店舗やオフィスなどに向けた製品が先行している。一般家庭向けの製品は、ペンダントなどでは問題はないが、ダウンライトなどでは、壁や天井内の断熱材が設置の際の障害になるケースも少なくない。家庭への本格的な普及は、まだこれからだ」(同ブース)とのことだ。
ダウンライト、ブラケット、スタンドなど、家庭内で使用する照明器具の多くは、LEDに置き換えることが可能になってきてはいるが、例えばリビングなどで使用されている蛍光灯タイプのシーリングランプは、合計で100W前後のサークライン、あるいは高周波点灯専用管を使用したものが多い。これをダイレクトに置き換え可能な製品というのは、現時点では存在しない(*)。しかし、LEDダウンライトの多灯化によって必要な明るさを稼ぐということは、現時点で可能なうえ、単一方向から来る光に比べて、自然な陰影が実現可能といったメリットもある。いずれにせよ、LEDにすべてを置き換える可能性を考えることが、決して非現実的ではなくなってきたとは言えるだろう。
また、エクステリア方面でも多くの製品が見られた。東芝ライテックやタカショーなど、多くののブースでガーデンライトやアプローチランプなどが展示されている。
なかでも、タカショーの出展しているガーデンライトは、昼間に太陽電池で充電した電力で、暗くなると点灯するというもの。また、同社が出展している「De-sign」という製品は、要するに玄関などに取り付ける表札なのだが、内部にLEDが取り付けられていて、文字の部分が発光するという製品。プレートの種類やデザインも選べる上、厚さも12.5mmしかないなど、光もの好きの家庭にはなかなかおもしろそうな製品だ。
日本の伝統的文化とLEDの融合という、変わった試みも展示されている。シーエスエスのブースでは、「ゆらぎのあかり」と題した一連の製品が展示されている。これらは、オーディオ機器と接続することで、音楽のリズムに合わせて、自動的に明るさが変化するLED照明に、和紙や布などで作られたシェードを取り付けたスタンド。シェード部分は、京都の和傘の老舗「日吉屋」や、同じく京都で400年の伝統を持つ京唐紙の老舗「唐長」などが作成している。
(*)ただし、使用している蛍光管が、直管タイプの場合、方法がないわけではない。[モモアライアンス](http://www.momoalliance.co.jp)が販売する「LUMINAGE TUBE」という製品がそれにあたる。LUMINAGE TUBEは、直管タイプの蛍光灯と同じ形状に、多数のLEDを組み込んだランプ。グロースタート/ラビットスタートの両方式の器具に対応しており(インバーター方式には非対応)、そのまま取り付けて使うことが可能だ。40,000時間以上の長寿命を実現しており、また、長期間使用しても、明るさが低下する度合いが蛍光管よりも少ないというメリットがある。価格は、20Wタイプで1本1万5,000円、40Wタイプで1本4万円となっている。明るさは、20W/40Wタイプともに、同じW数の蛍光管と同じとのこと。